第2話 思い出の物は取り憑く


「はぁ…どんな感じと言われましても。」


「いや。何でも良いんですよ。本当に何でも。例えば、どんな天気だったとか、どんな会話をしたかとか、幸吉さんまたは泰代さんがどんな行動を取ったとか…」


とにかく。とにかく何でも良いからヒントが欲しい。泰代さんの目の前にたった1回だけ現れた理由。そして、あの1回を境に人形が現れない理由。


何かしらの法則みたいのがあるはずだ。


「そうですねぇ。あの日は確か、いつもの様に畑仕事を終わらせ泰代がいつもの様に手作りの晩御飯を食べている時に泰代から゙私達2人で何か新しい事をしましょうよ。そうだわ新しい野菜の品種を作りましょゔと言われました。」


「それから?」


「自分ば新しい野菜の品種を作るにも場所がな…゙って言った後に泰代ばあのお義母さんの悪趣味な人形の物置があるじゃない人形を捨てて物置も壊して新しい品種を作りましょゔと」


「そうですか。因みにその夜の天気とか分かります?」


「そうだね。晴れていたかと言われると分からないけど雨は降ってはいなかったよ。」


「そうですか。有り難うございます。」


ダメだ…何かが引っ掛かる。何かが引っ掛かるんだけど分からない。だいたいは天気が分かれば現れた理由は見当がつく。だけど幸吉さんば雨は降っていなかっだだ。


俺が知りたいのばその夜の月だ゙月と言うのは幽霊が活動する活気なんだが…それが分からないなら幽霊を追い詰められない。


そう俺はモンモンと頭を悩ませていると日が暮れ、いつの間にか夜になっていた。


俺と斑は何をしているのかと言うとビデオカメラで人形コレクションの物置の中を撮影する為に色々と用意をしている。


物置に脚立に載せたビデオカメラを置いてビデオカメラからコードを繋ぎ少し離れた場所から、ビデオカメラに写し出される内容をビデオカメラでコードに繋がれたテレビで見る。


そんな所だ。よく心霊テレビで芸人が心霊スポットに1人で居座って、遠くからスタッフが見守るアレだ。


脚立を置いて高さを調整してビデオカメラを置いて脚立の高さを調整。


出来るだけ物置全体を見落とさず、全体が見られる様にビデオカメラを置いて準備が出来たらビデオカメラにコードを繋ぐ。


そして繋いだコードを延ばして少し離れた場所の幸吉さん宅の一室でテレビモニターに繋いで完了。


「さてさて今日は誰がやろうかのぉ。」


「前はお前だったから今回は俺がやるよ。」


「そうかのぉ。」


「取りあえず何時あたりからやる?」


「そうじゃのぉ。今の時間だと何にも出てこないでビデオカメラのバッテリーが切れるのが関の山じゃから。今から5時間後じゃな。」


俺は時計を見ると現在の時間はだいたい午後の7時前。だから日付が変わるちょっと前に撮影と俺が物置の中を居座る。そんな所か。



それから幸吉さんが自慢の手作りの無農薬野菜を使った季節の天麩羅と手作りの手打ち蕎麦をご馳走になった後に、もちろんのこと幸吉さんの許可を得て人形コレクションの物置の中をビデオカメラで撮影する。



それにしても不気味だな。俺が感じる霊感からだとピリピリって言うよりゾワゾワするって感じだな。


それだけじゃないな。あの幸吉さんのお母様の人形の数だ。綺麗に棚で並べられて人形達が俺を無言なのは当然だけど見られている感じだな。


【悠希~どうじゃ?】


「異常なし。こっちは?」


【異常なしじゃ。】


俺は耳からの無線のやり取りで斑に状況を伝え斑はモニターのテレビから異常はないかと見守る。


なんか物凄い地味な画だけど1人で心霊スポットに投げ込まれた気分になってみ?心霊嫌いからすれば生き地獄だぜ?


俺は馴れているけど…あんまり好きこのんで進んでやりたくはないな。


異常は特に見られないけど、どちらかと言えば雰囲気だな。時間が経つにつれてどんどん俺の肌が鳥肌になっていくのが分かる。


【大丈夫か?】


「あぁ一応な。でも、もうちょいしたら少し休憩を入れたいな。」


【分かった。】


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