第2話 思い出の物は取り憑く

「そこまでですか。」


俺は少し苦笑い気味に笑うと幸吉さんは続けて言う。


「自分としては母が大事に大事にしていた宝物なので捨てるには忍びないのですが、妻と新しい品種の野菜を作ろうと話し合っていましたから…」


「そうですか。概ね事情は分かりましたので少し調査をして宜しいでしょうか?」


「えぇ。構いませんが、どんな風に調査を?」


「コイツで。」


「カメラをですか?」


「はい。私もそして助手の斑も霊感はあります。しかし霊感だけでは見逃してしまう所もある訳です。」


「はぁ…」


「ですからカメラで色々と検証をしてみたいと思います。」


「何故カメラなのですか?」


「心霊写真って幸吉さんは聞いたことありますよね?」


「えぇ。写真から知らない顔やモヤモヤした物や身体の一部が消えて写る写真ですよね?」


「はい。心霊写真と言うのは幽霊の心理や訴えを写し出した物で、我々はその心霊写真から写し出される心理や訴えを読み取り、除霊をするのです。」


「なるほど…」


「ですから家中をこのデジカメで撮りたいのですが、依頼者の幸吉さんの許可が必要なのですが宜しいでしょうか?」


「はい。全然構いませんよ。」


「有り難うございます。感謝します。」


依頼者の幸吉さんから許可も降りたから、俺と斑はまずは家の外から写真を撮ることにするが俺は喫煙で一服。


「やはり決め手はあそこにある人形コレクションの物置じゃの。」


「そうだな。家の全体から幽霊の気はあるが、特にあの物置からの幽霊の気は異常だな。」


「だが、物置ばかりに目を捕らわれていると足元をすくわれるぞ。」


「良いなぁ。幽霊は…足が無いから足元をすくわれないし。」


「まぁ、除霊師の基本。調べられる場所は全て調べらるじゃ。」


「はいはい。」


俺は携帯灰皿に煙草の吸い殻を捨てて家中を調べる。



そんで家中を調べた結果だ。幸吉さんの奥さんに許可を貰って寝室と人形コレクションが置かれている物置。そしてトイレ、洗面台、風呂場を特に調査した。


「ふむふむ。」


「コレは…」


俺と斑は幸吉さん宅の居間で写し出れたデジカメを見直しながら冷たい緑茶を貰う。


「全体的に白いモヤがかかってるのぉ。」


「奥さんの寝室は偶然だが泰代さんと撮った。だけど奥さんの右手は消えて左肩には女の顔が写ってる。」


「もしかしたら依頼主の奥さんは憑かれとるな。」


「でも、こっちも見逃せないな。あの人形コレクションの物置の中を撮ったやつだ。」


「コレは…そうかこの時代の人形は…」


「あぁ。黒髪にオカッパ頭に真っ白い顔をして和服を着た日本人形だ。」


「うむ。当時はかなり可愛がられたが、この御時世には不気味以外の言葉が出ないのぉ。」


「物置は薄暗いからフラッシュを使って撮ったら赤い眼をした女の姿だ。」


「ちょっと貸してみろ。」


「あぁ…」


「間違いない。悠希。この写真と見比べてみろ。」


「コレって…」


「うむ。依頼主の奥さんに憑いている幽霊と人形コレクションの物置に写ってる幽霊は同一人物であり…」


「あそこの遺影に飾っている依頼主の母親。今回の件はコイツの仕業だのぉ。」


ある程度は予想していたが、ここまでピタリと当たるとはな。


だとすれば不思議な事が1つ。何故に依頼主の母親の霊は1回…そう。たった1回だけしか人形を動かして奥さんの目の前にしか現れてないかだ。


俺は幸吉さんが書いた依頼書の内容を見返す。きっと、きっと何か手掛かりがあるはずだ。


「烏間さん。何か写真から分かりましたか?」


「え、えぇ。一応ですが概ね掴めましたよ。だけど少し不可解な事がありまして…」


「何ですか?」


「奥様の泰代さんの目の前に人形が現れた日ってどんな感じでした?」



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