第2話 思い出の物は取り憑く
そして朝早めに起きて朝飯を食ってから天浄経文、霊縛(れいばく)の数珠、霊清銃と純銀製の弾丸を持ち出発。
「さて今回は悪霊やら怨霊の仕業かの?」
「どうだろうな。」
俺は煙草を口にくわえてライターで火を着けながらハチロクを運転する。
「まぁ、ここで考えなくても仕方ないかのぉ。それは着いてから考えるか。」
「だな。1番理想なのは出てきた所を話を聞いて、もし願いがあるなら自然と成仏させるのが理想だ。」
たいがいの幽霊ってのは何かしらの未練が強く、その未練が心残りとして表れて、死んでもなお、さまよい、居続ける。
もし依頼された幽霊の正体が俺の予想なら依頼主の母親だと俺は思う。そうすれば依頼の手紙に書かれた出来事に合点がいく。
何故にその幽霊が人形に憑いてまで人形を捨てないで欲しいのは何か人形に対する特別な思いがあるのかもしれない。
「ところで悠希。」
「ん?」
「今回の仕事の報酬はどうするのじゃ?」
「どうするって言ってもな…理想的なのは現金か現金に変えられる金品が良い。けど…」
「けど?」
「依頼人の中には報酬が払いたくても金銭的にユトリのない人達だって居る。金銭の問題で除霊師を頼みたくても頼めない人達も居るのさ。」
そう。確かに俺も生活をしていく為には金が必要不可欠だ。だけど中には本当に金銭的なので除霊師を頼めない人が居るのが現実。
だから俺は現実や現実に変えられる金品じゃなくても何か自分の生活に役に立てる物や、時間を掛けて報酬を払ってくれる様にしている。それか依頼料をまけたり、何かしらの恩返しで報酬としてやる時もあるのさ。
そうすれば少しでも多くの心霊に悩み、苦しみ、困る人が無くなるって俺は思う。
「それにしても毎回毎回だが依頼人の済んでる場所ってのは結構田舎や地方が多いのぉ。」
「まぁな。それが普通だと思うぜ。」
な。」
「まぁ、確かにのぉ。」
「俺が除霊師の駆け出しの頃は散々やったぜ。」
「そう言えばそうじゃの。」
「わざわざ神社の神主みたいな服装に立ち振舞いまでな。」
「それもそれで懐かしいな。」
除霊師になった頃の俺は最初の1年は建物を建てる際の除霊を任されていた。それは除霊師協会からの新人研修としてな。
除霊師になったのは良いが新人のペーペーが仕事の依頼が来るわけもなく。除霊師協会から貰う仕事でどうにか仕事をしていて、建物を建てる際の除霊の仕事って事だ。
話を戻すと田舎は見たまんま田んぼに畑に山に川や湖と自然のまんま。そこに幽霊が住み着く。しかし田舎は都会と比べれば大きな建物やビルの需要がない。
だから除霊をする機会は殆ど無く、幽霊が幽霊を呼び出し曰く付きの心霊スポットが出来上がる構造なのさ。
都会で徐霊の依頼があるなら、それは殆どの確率で悪霊や怨霊だ。それはと言うと都会は田舎の様に山から転落したり川や湖にダムで溺死する事も殆ど無い。
そこから出てくる結論は何かしらの事件に巻き込まれて死んでしまい、幽霊になり怨念や恨みや憎しみで悪霊や怨念になるからだ。
だから俺は除霊の依頼場所が都会の場合は悪霊や怨霊が絡んでいると踏む。
それに行く場所が行く場所なんだよな。交通事故の現場ならまだマシだけど、殺人事件の現場に行かされるとなると本当に嫌だぜ?
だって下手すれば時間が止まった様に血痕やらあるし、それに殺害現場が家の中や敷地内だと尚更だ。
血がベットリと着いてるし犯行現場の生々しさが露骨に出てくるし。最悪なのは鉄臭いのと死臭が漂うの。下手すると吐きそうになる。
何回か警察から迷宮入りしそうになった事件に頼まれたのよ。俺が幽霊と話せるからって。
なんで俺が警察とそんな関係があるのは後々のお楽しみって事で。
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