第2話 思い出の物は取り憑く
安心して歩き始めた時に妻の目の前に母のコレクションの人形が立っており、妻は腰を抜かし尻餅を着くとカタカタカタカタと母の人形が妻に近付いてきて…
『ス…テ…ル…ナ……ワダシノ……ダイジナ…ダイジナ…ニンギョウ…』
と母の人形は呟き、妻はそれ以来、恐怖に怯え寝込んでしまいました。
私は知り合いと友人を便りに誰か除霊師が頼めないかと探していた所に、烏間さんの武勇伝と人柄の良さを知り依頼致しました。
って内容なんだけどさ。
「ほうほう。人形っていうものは、よく霊が憑くと言う典型的な話だの。」
「そうだな。例えば生前に何か人形に強い願いや、または何か大切な思い出のある人形には幽霊が憑くんだよな。」
「これは今回の依頼は根気比べの持久戦と機材を結構持って行かないとだのぉ。」
「そうだな。必然的に車になるけど車を置く所があるのか?」
「取り敢えず電話してみろ。電話番号は書いてあるだろ?」
「それもそうだな。」
俺は依頼の手紙に書かれていた番号を取りながら受話器を片手に電話番号を打ち込む。
そして飯田さんの電話番号を打ち込むと電話が繋がる。
「もしもし。私は烏間心霊探偵事務所の烏間悠希と言います。飯田幸吉様で宜しいでしょうか?」
どうやら電話に出たのは依頼主の幸吉さんの様だな。とても物腰が柔らかい言葉遣いの口調で電話に対応する。
「はい、はい。飯田様の家にはいつ、お伺い致しましょうか?はい。分かりました。明日のお昼あたりですね?分かりました。」
って事はアレか。明日は最低でも午前9時30分には出ないとだな。
「実は私は車で飯田様のお宅にお伺いしたいと思っておりますが、飯田様のお宅には車を置ける駐車場はございますでしょうか?はい。有り難うございます。」
どうやら都合良く車を置ける駐車場はあるみたいだ。助かった。
「では、明日のお昼過ぎあたりに飯田様のお宅にお伺い致します。では、失礼します。」
俺は受話器を降ろして煙草を取り出して口にくわえて火を着ける。
「ふぅ~…」
「車は置けそうなのか?」
「まぁな。それにしても依頼の手紙を見た感じだと嫁姑の問題みたいな感じが絡んでそうだな。」
「ふむ。いつの世も嫁姑って言うのは絡むもの。むしろ嫁姑同士が仲が良いのが珍しいものじゃ。」
「ってかさ。なんでこう…何て言ったら良いのか?仲が悪いの?」
「簡単に言えば手塩に育て上げた息子が何処の馬の骨かも知らん女に取られたのが気に食わないのだろ。」
「そんなのでか?」
「そうじゃよ。たたが、そんな理由で全てが気に食わないのじゃよ。だから料理の味付けに掃除の仕方に何から何までじゃ。」
「へぇ…」
「それで苦労するのは旦那の方じゃよ。自分の母親と妻の間に挟まれて自分の家なのに辛い思いをしなければならんのじゃ。」
ハァ…何だか余計に結婚する気が失せる話だな。こりゃ。だって…俺の母親と将来の奥さんには仲良くいて欲しいからな。
「じゃあ、依頼の手紙を読んでみると事の発端は人形を捨てることからなら、見張るのは人形がしまってある倉庫だな。」
「そうじゃな。ビデオカメラを4台くらい脚立に立たせて、ビデオカメラから回線を繋いで少し離れた場所からモニターを映す。そんな所じゃ。」
「とにかく。明日は早めに行った方が良いから今日は晩飯を食った後に機材を車に積んで早く寝るか。」
色々と今回の仕事の話をしていると時間はスッカリ晩飯の時間。
俺は炊飯器にご飯を炊いて適当に豆腐と油揚げの味噌汁を作り弥生から貰った刺し身を美味しく頂いた。
飯を食った後はビデオカメラ4台とビデオカメラに置く脚立。デジカメにポラロイド写真。そしてビデオカメラから遠くから見れる様にモニターにそれを繋ぐコード。
そして持久戦になりそうだから3日くらいの着替えを準備して車のトランクに積んで風呂に入り明日に備える為に早く寝る事にした。
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