第2話 思い出の物は取り憑く
「ほら出来たぞ。」
「うぉぉおおッ!!相変わらず弥生の飯は美味そうじゃ!」
「そんじゃあ頂きます。」
俺と斑はフォークを片手に取り斑はいつもの様にガッツキ、俺も腹が減っているから食が進む。
そして食べ終わったら食後のデザートも完食してから、その後もほどほどに俺と斑と弥生で雑談をしてから、そろそろ帰ろうとした時。
「ほら。持ってけよ。」
「なんだコレ?」
弥生はなんか俺を睨み付ける様に見ながら袋を渡す。
「ん?この匂いはマグロとイカとタコにカツオにサーモンの刺し身ではないか?!」
「なんでこんなもの?」
「別に…」
「おい。どこの芸能人だ?」
「い、い、良いから受け取れ!こ、コレはお前の稼ぎが少ないから斑にも迷惑掛けてるからな!少しでも斑に美味いものを食わせてやれ…バカ者。」
「そ…そうか有り難うよ。」
「さっさと帰れ…」
「分かった。分かった。もう帰るからよ。邪魔したな。」
「ふん。」
俺は弥生にズケズケと痛い所を言われて半分追い出された感じで斑と一緒に店を出る。
何故だが斑は俺を見てはニヤニヤし始めてる。
「なんだ?俺が弥生にズケズケと言われた姿を見て笑ってんのか?」
「ハァ…悠希。お前が結婚出来ずに葉子に孫を見せられない理由が分かったよ。」
「なんでだよ?アレか?給料が安定しないからか?」
「…つくづくコイツには呆れるのぉ。」
「何なんだよ?いったい…」
「にゃはははは。年の功、年の功じゃ。」
「…?」
俺は斑が言っている事が全く理解出来ず、俺は考えてみたけど全然分からなかったから考えるのを止めて家路を急ぐ。
途中で煙草屋で煙草を買ってから家に到着。俺は郵便受けのポスト確認する。すると一枚の封筒の手紙を見付けた。
宛先ば烏間 悠希゙宛てだ。
俺はその場で封を切らずに取り敢えず、せっかく貰った刺し身が傷まないように玄関を開けて靴を脱いで居間にある冷蔵庫へ。
冷蔵庫に刺し身をしまってから俺は、そのままデスクワークの椅子に座り封を開けて手紙を読む。
「悠希。仕事の依頼か?」
「そうだな。今から、ちょうど読むところだ。」
そして依頼の手紙の内容。
初めまして烏間悠希さん。私は妻と農業を営む飯田 幸吉(いいだ こうきち)と言います。
実は私達、夫婦は新しい品種の開発をしようとしているのですが、今は色々と野菜を出荷する前なので別の場所をと思いまして、そこで私達が目をつけたのが倉庫を取り壊して新しい品種を作ろうと考えました。
倉庫の中には3年前に他界した母の人形のコレクションになっており私達夫婦には全く要らないので捨てることに決めました。
ですが、私達が母の人形コレクションを捨てようと決めた、その日から何か声が聞こえるのです。
その声は苦しんでいる様な悲しんでいる様な声で最初は私達の気のせいだと思っておりました。
しかし、日に日に私達の周りで可笑しな現象が続く様になったのです。
窓も開けても居ないのに勝手にカーテンやら動き始めて、ドアが勝手に開いたり、しまったり。
そこで決定的な事が起きたのがありました。ある日の事、妻が風呂から上がり廊下を歩いてる時に何か足音が聞こえてきたそうです。
妻は私だと思い振り向きますが誰にもおらず、それと同時に足音が消えたそうです。
妻は少しここ最近の事に神経質になっており、普段より怖がり急いで私を探しに廊下を後にして早足で歩くと、後ろから妻の歩調を合わせて早足で歩き始めたそうです。
そして、妻は足をピタリと止めると足音も同じくピタリと止まり、妻は覚悟を決めて後ろを振り向くと、やっぱり誰も居なかったようです。
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