第1話 女の恋は時に怨みになる
1つ目は詠唱する事で幽霊の意志に関係なく成仏をさせる巻物。『天浄経文(てんじょうきょうもん)』
2つ目は同じく詠唱する事で幽霊を拘束及び人間に取り憑いた幽霊を引っ張り出す数珠。『霊縛(れいばく)の数珠』
以上の2つは俺が除霊師になったと同時に母さんから烏間に伝わる法具だ。
だけど最後の3つ目の法具は違う。俺が除霊師になった時に烏間家からの餞別で幽霊に名にかしらの効果がある法具を作ってもらうんだ。
俺が作らせたのは警官が持つリボルバー式の手のひらサイズの銀色の拳銃。『霊清銃(れいしょうじゅう)』だ。
コイツの弾丸は純銀製の弾で西洋では対悪魔用の銃の弾丸として使い。最近では幽霊にも効果があると判明。
実際に幽霊にブチ込むと既に死んでいるから死にはしないが、実際に撃たれた幽霊は激痛に襲われる。どうやら幽霊にとって銀は毒に近いらしい。
また怒りや怨みが強く話のままならない幽霊を落ち着かせたり、鎮めたりする効果もある。
以上が俺の使う徐霊師の時に必ず使う法具だ。
俺は霊清銃の銀弾を装填してストックとして20発くらい持っていく。まぁ、銀の弾丸って高いんだよね。純銀製の弾丸だからさ。
「悠希。準備が出来たぞ。」
「あぁ。じゃあ機材を車のトランクに入れて頂戴。」
「全く。年寄りをコキ使うもんじゃないよ。」
「普段、年齢を気にしている斑が言うと説得力が全くないな。老害。」
「なんだとッ?!」
俺と斑は機材を始めとする荷物を車のトランクに運ぶ為に、家から出てドアを閉めて鍵を掛けたのを確認して俺の愛車に向かう。
まぁ、あいにく俺の愛車は残念ながら今時のお洒落な車じゃないんだよね。
あんまり車にお金を掛けられないし。維持費がちょっと追い付かないんだよ。だから俺の愛車はレトロな車なんだよね。
うん。俺の愛車は『トヨタ・AE86』だ。通称:ハチロク。
さぁ…仕事だぜ。
愛車(ハチロク)で山の峠を下山した後に平地を走らせて改めて依頼の手紙の内容はこうだ。
徐霊師。烏間悠希様。
お初にお目に掛けます。私共は荒井 政夫(まさお)と荒井 凪子(なぎこ)と言います。
烏間様に1つお願いがありまして。
実は私共の1人娘の遥(はるか)についてなんです。
娘の遥は1ヶ月前に突然。人が変わった様に私達に暴力を奮うようになりました。
しかし翌日。遥は私達に暴力を奮った覚えがなく、むしろ自分がそんな事をしてしまったのかと悲しんでしまいました。
暴力を奮った翌日には、いつもの心優しい娘に戻ったのですが…
しかし深夜になると再び人格が変わった様に暴れ、大声で叫び止めようとした私達を突き飛ばしたり家中の物や家財を壊し回り始めました。
私達は娘が何かの病気に掛かったのかと思い行きつけの病院の医者に連れて行きましたが原因は分からず行きつけの病院の先生の紹介で大きな病院を紹介されました。
しかし精密検査やあらゆる専門化の先生に診ってもらいましたが結局は原因は分かりませんでした。
しかし、娘は深夜になると何かに発狂する様に奇声を上げて寝ている私達に手を上げては暴力の日々。
そして、ある日の事。いつもの深夜の時間に娘は相変わらず人格が変わった様に暴れはじめましたが、その時は奇声は発狂ではなく何かを訴えてました。
『許さない…お前だけは…絶対に許さない。』
『私を裏切った罪は重い。そして…産まれてきた事を後悔しろ。』
私達には何にも身に覚えがなく、ただ家の中を暴れまわる娘に立ち尽くすばかりでした。
しかし、娘の言動が他のご近所に知られるのも時間の問題で噂が噂を呼び私達は今、肩身を狭い思いをしていました。
そして、私達は、ご近所からの陰口をあることを聞いてハッとしました。その内容は…
『荒井さんの娘さん。まるで何かに取り憑かれた様に暴れてるのよ。』
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