第1話 女の恋は時に怨みになる


斑は確かに服を着て来た。それは良しとしよう。しかしブラジャーにパンティーを吐きその上に俺のダボダボのTシャツを着ただけじゃねぇかよ。


「はぁ…もう良いよ。それで。」


「にゃん。それにしても何か加齢臭がする。」


斑は俺のTシャツを嗅ぎながら少し、しかめた顔をしている間に自動グリルで焼いた焼き魚が出来上がった。


俺は魚を皿に盛り付けてテーブルに置くと斑は待ってましたと言わんばかりにニジマスにガブリ付く。


「お前ねぇ、行儀悪いぞ。わざわざ箸も用意したのに。」


「やっぱり魚はそのままガブリ付くのが1番じゃな。ん~!美味いのぉ。この焼き加減が!」


斑は魚をガッついてると俺はアイスコーヒーの御代わりが欲しかったから立ち上がると斑が不意に話し出す。


「そう言えば悠希。私が着替えてる時には郵便受けに郵便が来てたぞ。」


「そうか。それはどーも。」


「仕事の依頼だと良いのぉ。」


「だと良いんだけどな。」


俺はコップを台所に置いて郵便受けがある玄関へと足を運ぶ。まぁ、仕事の依頼以外は請求書しか無いからな。


こんな風に自虐的に考えながら俺は郵便受けのポストを開けると郵便が2件。1つが電気料金の請求書。『槇島(まきしま) 悠希』宛てだ。


そして、もう1つが『烏間 悠希』宛ての封筒に入った手紙。俺の本名は槇島 悠希だけど、烏間 悠希は除霊師の仕事の名前。烏間は母さんの旧姓で仕事の時は烏間の苗字を名乗ってる。


どうやら久し振りの仕事だ。俺はリビングに戻りコップにアイスコーヒーを注ぎテーブルに戻る。


「どうじゃった?」


「1つは電気料金の請求書。もう1つはコレだ。」


俺は烏間 悠希の名前宛ての封筒を斑に見せると斑は不敵に笑う。


「どうやら悠希。神はまだ悠希を見放してないようじゃな。」


「ふん。」


俺は取り敢えず電話の受話器を取り依頼者の自宅の電話番号を押す。



受話器を耳に当てて依頼者が出るのを少しだけ待つと初老の男性が出てくれた。


「もしもし。私、烏間心霊探偵事務所の烏間悠希と言います。荒井さんのお宅で宜しいでしょうか?」


すると電話の声は依頼主の荒井さん夫婦のご主人の方だと分かった。


「お手紙の内容を読みまして速達で送られたと言う事で今からお伺いしても宜しいでしょうか?」


郵便は速達で送られてきた事で依頼主の荒井さん夫婦はどうやら急ぎの様子。


「はい。かしこまりました。夜分遅くなるかも知れませんが荒井さん宅にお伺いさせてもらいます。はい、はい。では最後に1つ。不躾ながら、お車を1台置けるスペースはありますでしょうか?」


まぁ、依頼主の家は場所的に言えば車で3~4時間ほど走らせた隣県の比較的に田舎に近い場所。


「はい、はい。では私と助手を連れて夜に荒井さん宅にお伺い致します。はい、はい。では失礼します。」


俺は相手が電話を切るのを待ってから受話器を下ろして準備を始める。


「斑。取り敢えず、ちゃんと服を着てから準備を手伝ってくれ。」


「どんな依頼の内容なん?」


「まぁ、そこは車を走らせながら追々説明しておくよ。」


「ほぉ…まぁ、良いか。何を準備すれば良い?」


俺と斑は余所様に行っても恥ずかしくないような服装に着替えながら準備を始める。


「そうだな。着替えは俺が準備をするとして。ポロライド写真とデジカメ。それにビデオカメラを3台で脚立もお願い。」


「今回は遠くから離れて見張らないのか?」


「そうだな。簡単に言えば゙霊に憑かれだだな。」


「なるほど…まぁ、それなら結構早く終わりそうだな。」


俺と斑は着替えを済ませてから俺は自分のと斑の着替えを一泊分と斑は機材を用意する。


そして、あらかた用意を済ましたら除霊師の法具を書斎室から取り出す。




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