(3)
どうやら、あの「連絡係」の女が言ってたように、俺の「就職先」は神政会内部の粛清部隊だったようだ。
米軍の岩国基地壊滅のせいで、副次的に広島近辺への麻薬・覚醒剤の密輸ルートが潰れた。
その結果、神政会の下部組織の中でも麻薬・覚醒剤を収入源にしている「組」は上納金の納入が遅れるようになり……。
「おい、飲みに行くか?」
「いいよ、帰って寝る」
広島県に入ってから数ヶ月。すっかり、俺みたいなデブにはキツい季節になった。
出掛ける時には汗拭き用のタオルを何枚も持ち歩く必要が有る。
もう、夜も遅いんで、昼間よりはマシだが……。
ここ数日は、上納金未納を理由に粛清された組の残党狩り。
それが、ようやく終った帰りに相棒の「十両」と別れて、「組」が借りてるマンションに向う。
ウチの「組」のフロント企業はセキュリティ企業だ。地方議員やちょっとした企業経営者の警固から、IT関係、防犯カメラの運用……「セキュリティ」と名が付くモノなら何でもやってる。そのフロント企業の名義で「寮」として借りてるのが今の自宅だ。
「♪○×△∴∧」
「♪∵◎▽∩?」
「♪◇■●★♪♪♪」
使い魔の「死霊」どもの数も、広島県に来る前の約1・5倍に増えている。
「おい、しばらくは好きにしていいが……はしゃぎ過ぎて一般人に迷惑かけんじゃね〜ぞ」
俺は使い魔たちに、そう言うが……。
「おい……ようやく見付けたぞ……」
この時間帯だと人通りが少ない辺りなのに……1人の男が居た。
三〇後半から四〇前半ぐらい。中肉・中背だが……。
「誰だ、あんた?」
黒いTシャツに黒いズボンのせいで、夜の闇の中では目立たない。
そして……そこそこ以上の「気」。しかも、その「気」は、その手の訓練をした者に特有の「
「『同業者』か?」
「悪いが……あんたが裏切ったかどうか判んないんでな……」
そいつは俺の問いには答えなかった。ただ……「気」を溜めているのは判る。
「おい……お前ら……」
死霊どもに「俺を護れ」と命令しようとしたら……。
死霊どもが一斉にブーイング。
くそ、一般企業でデスクワークしてる奴が上司に「定時だから、帰っていいぞ」と言われて、帰る準備が終た途端に「あ、やっぱり、今日、残業ね」と言われたようなモノだ。
そりゃ、機嫌も悪くなる。
「吽ッ‼」
「うわっ‼」
気の塊が放たれる。
しかし、致死性の攻撃じゃなくて……大昔の俗語で言うなら「不動金縛り」。
使い魔どもの力を借りずに、無理矢理、引き出した「
「誰だ? てめえはッ?」
その時、首筋の後ろ側に、チクリとした痛み。
「
聞き覚えの有る声……。
クソ……対「魔法使い」用の戦い方を心得てやがる……流石は
最初に現われた「魔法使い」は囮……本命は……異能力は異能力でも魔法・超能力系じゃない能力を持った「
やがて……麻酔弾のせいで、亻奄
の意
識は遠
くなり……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます