(4)
「課長ッ‼
俺が目を覚ましたのは……ワンボックスカーの中。
多分、ネット上で「誘拐犯御用達」扱いされてる車種だろう。
車の中には、さっきの
「
「だから……どうなってんすか?」
「何から……話したらいいか……ええっとなぁ……まず、お前が連絡用に使ってるWEBサイトだけど、あれ、複数の
「へっ?」
「で、お前との連絡手段は……あのWEBサイトしか無かったんだが……2ヶ月半ほど前に、とんでもない事が判った。それから、お前を探し出すまで、結構な手間だったぞ。何せ、『神政会』にバレるかも知れねえ捜査手段や情報経路は一切使えなかったんでな」
「何がですか? 一体全体、何がどうなってんですか?」
「ええっとだなあ……何つ〜か……まぁ、俺達にも事の全体像が全く見えてねえんで、起きた事を順番に話すぞ……。そうだな……まず、ある
「いや、何が不思議なんっすか? IDとパスワードを間違えなけりゃ……」
「
「はぁッ⁉」
「しかも、そのエラいさんでも見れない筈の……全く違う
「ど……どうなってんすか?」
「そして……慌ててIT部門が調べてみるとだな……。ええっと……あのWEBサーバのデータ、定期的にバックアップを取ってたが……
「何すか、それ? いくら『魔法』や『超能力』が当然の御時世とは言え、IT関係の心霊現象なんて聞いた事も無いっすよ」
「いや……もっと単純な手だ。DNSハイジャッキングって聞いた事有るか?」
続けて、そう言ったのは、課長が連れて来たらしい
「ああ……聞いた事は有る。仕組みは良く判んね〜けど……例えば銀行とか役所のサイトにアクセスしてたつもりが、全然、別のサイトに誘導させられてた、ってアレだろ」
「それをやられた。あんたがアクセスしてたWEBサイトは……何者かが本物そっくりの外見に作った偽物だ。あんただけじゃない、あのWEBサイトを連絡に使ってた他の奴も、実は、偽のサイトにアクセスしてた。ログイン画面は……完全なダミーでIDやパスワードを入力しなくても『ログイン』ボタンさえ押せば、次の画面に移動する。むしろ、
「そ……そんな……馬鹿な……」
「マヌケな話だが……あのサイトでの連絡内容は……全く信用出来ねえ。誰に改竄されたか知れたモノじゃないしな……」
「何で今まで気付かなかったんですか?」
「お前みたいなのが
「えっと……『本命』の『別働隊』の事っすか? 全滅した、って聞きましたけど……」
「おい、何で『別働隊』の事を知ってる? あと、全滅したって誰から聞いた?」
「連絡係から……」
「だから、連絡係の広域
「いや、『別働隊』の連絡係から……」
「そいつも行方不明なんだよ。大体、その自称『別働隊の連絡係』さんと、どうやってアポを取った?」
「じゃあ……あの……金髪でツインテールのポッチャリ系のアラサー女は誰なんですか?」
「誰だ、それは? そのアラサー女とやらが、どこのどなた様か……こっちが聞きてえよッ‼」
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