(11)
どうなってんだ……と思ってたら……どうなってんだ?
連絡用のWEBサイトに広告が表示されていた。
『広島でオススメのお店と言えば……』
その後は文字化け。それと焼肉の画像。
何で、警察が秘密裏に作ったサイトに広告が表示される?
それも、広告が文字化け……? 待て。
文字化けした部分をコピペ。
警察で使われてる、いくつかの暗号で復号を試みる。
3つ目の暗号アルゴリズムで復号に成功。
暗号ソフトが、住所と日時と店名を表示する。
そして、当日、その住所に行ってみる。
市街地から結構離れた住宅街の……ん?
駐車場なしの小さな店。
だが……。
店に入ると……店主らしい五〇過ぎのおっさんに……客が1人だけ……。
「おい……何、ヤバい真似してる? 一般人は近付かねえだろうが……
俺は、おっさんにそう言った。
「やっぱり、わかりますかね?」
「当り前だ」
店の周囲には結界が張ってあった。
結界内に侵入した人間に「何となく嫌だ」と云う気持ちを起こさせる効果が有る結界だ。
店には余計な一般人は入って来ないだろうから、密会の場所には最適に見えるが……欠点が1つ。
「まぁ、いい、オススメは何だ?」
「モツ系と骨付きカルビです」
「じゃ、それと、野菜を何か適当に」
俺は、そう言いながら、たった1人の客の向いの席に座る。
そいつは……金色に染めた髪をツインテールにして、水色のスカジャンを着ていた……太り気味で美人には程遠いが、妙に愛嬌のある顔をした二〇後半ぐらいの女だった。
「あ、あたし、別働隊の連絡係」
「そんな事だろうと思ったぜ。俺は御役御免か?」
「御役御免がお望み?」
「まぁな……」
「残念だね。御役御免がお望みなら、マヌケのフリをすべきだった」
「はぁ?」
「あたしさ、精神操作までは無理だけど、他人の心をある程度読む位は出来るんだ」
ツイテールの金髪デブは、そう言いながら、黙々と焼けた肉を食べる。
ちくしょう……。
別働隊が居る事を知った瞬間に、驚いたフリでもすべきだった……。もっとも、このデブ女が言ってる事が本当なら……「フリ」である事を見抜かれる可能性が有るが。
「じゃあ、別働隊はどうしてる?」
「おっちゃんより遥かに優秀な筈の人が何人か投入されてた……けど……」
「けど……?」
「おっちゃんがやった山能組の組長の爆殺だけど……爆弾詰んでた
「え……っ?」
お……おい、まさか……そんな……馬鹿な……。
「店長さん、ジンジャーエール、おねがい」
「はい」
「ど……どうやって……バレた?」
「判らない。判らないから、次の潜入捜査員を投入出来ない」
そ……そんな……。
だが……このままでは……どうしてバレたかを突き止めない限り、潜入捜査員を投入しても、次から次へと殺される。
「あとさ……とんでもない『都市伝説』が
「何の事だ?」
「聞いた事ない? 覚醒剤の日本への輸入ルートで『在日米軍ルート』ってのが有るって」
「お……おい……」
「岩国基地の米兵が皆殺しにされたせいで……『在日米軍ルート』の1つが潰れて、広島で
「ヤクザが自分の飯の種を潰したのか?」
「それが……変なんだよ。おっちゃん、自分の就職先が、どんなとこか知ってる?」
「だから、神政会の下部組織だ」
「違うよ、神政会の中でも特殊部隊だ。そして、
「はぁ?」
「おっちゃんの『就職先』は……神政会系の他組織とは……知り合いが居ないとか、利害関係が無いとか……
「お……おい……まさか……」
「そして、岩国基地から武器・弾薬を強奪したのは……神政会系の他の組じゃない……おっちゃんの就職先だよ」
「へっ?」
「多分だけど、おっちゃんの就職先は……
冗談じゃねえ……エラい事になったな……。
「残念だけど……おっちゃんは、当分、御役御免にはならないよ」
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