第2話 猫

「そういえばこの間の話なんだけどさ」


 再び廃墟を探索中のレイナ。熱いシャワーを浴びて身も心もリフレッシュした彼女はビューティーな盗掘屋だ。


「なんの話でしたっけ?」

「ほら、動物が好きっていう話」

「ああー、そういえばしましたねそんな話」

「実はあたし、まだ世界が平和だったころに白猫を飼っててね」

「そうだったんですねぇ」

「噛み癖が酷い子でさ、ことあるごとに噛んでくるんだけど、今思うとあれはあれで可愛かったんだよね」

「また嚙まれたいですか?」

「噛まれたくはないけど……でも飼えるなら飼いたいな。いや飼う! もしも猫を見つけたらあたしは連れ帰って飼うわ!」

「みつかるといいですね」

「そうね……うわっぷ」


 レイナが食糧庫と書かれた扉を開くともっふん、と柔らかいなにかが顔を包み込んだ。


「なに……これ……?」

「生体反応をキャッチしていますが、これは……」


 巨大な白いふわふわは扉の向こうでうごめいている。

 ぐるりと体を反転させると、青いつぶらな瞳と目が合った。


「にゃーご?」


 部屋の中にいたのは、扉よりも大きな猫だった。


「……どうやって入ったの?」

「部屋の壁に穴でも空いていたんじゃないでしょうか……それよりレイナちゃん」

「なに?」

「その子……どうするんですか?」

「…………」


 レイナが言い淀んでいると、巨大猫は「にゃあ?」と小首を傾げた。

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