第2話 司書の少女
追放された俺は、とりあえず魔術学園の図書館へ向かった。
スクールカースト最低辺の俺に別れの挨拶をする友達も彼女もいないが、学園でたったひとり俺が話してた子がいた。
灰色のレンガで出来た、お城のような建物。
この魔術学園の中で一番古く、この学園が建てられる前にあったらしい。
重い扉を開けると、鼻をツンとつく本の匂いがした。
「アリババさん!いったいどうしたんです?今日はスキル付与の儀式では??」
俺を見つけた司書さんが駆け寄ってきた。
かわいい司書の女の子――ミオカ・ミハマさんだ。きれいなストレートの黒髪ぱっつんで、大きな丸い黒い瞳。俺と同じ17歳。いつもたくさんの本を抱えていて、広い館内をパタパタと走り回っている。
「ああ、追放された」
「えええ!!追放って……。どうして?」
ミオカさんは俺の手を取って、とても心配そうな顔をしている。
「親父が帝国から逃げたのと、付与されたスキルが
「え、
目をキラキラさせて喜ぶミオカさん。
ミオカさんは司書なだけあって、無類の本好きだ。召喚術から薬草学まで、どんな分野の本を読みまくっている。今、ハマっているのは古代魔術の本だ。
俺は放課後はずっと図書館にいて、ミオカさんと地下の書庫で古代魔術の本を読み漁っていた。
今時、使えない古代魔術の本を貪欲に求める俺とミオカさんは、学園の連中から変わり者扱いされている。
この学園で俺と話のレベルが合うのは、ミオカさんだけだ。
「いやいや……。
「わたしは羨ましいです。
ミオカさんは本気で羨ましがってるようだ。
本当に本が好きなんだな。
無邪気なミオカさんと話していると、俺のささくれた心は少し癒される。
しかし、特に国民の戦闘力を重視する帝国では、とことん冷遇されるスキルだ。
正直、このガチャ運の悪さはかショックだった。
「これからどうするんですか?」
「とりあえず、辺境で静かに暮らすよ」
すべてを忘れて、辺境でスローライフを送りたいと思う。
「アリババさんとお別れするの寂しいです。放課後に毎日、2人で古代魔術のお話するのが本当に楽しいのです。アリババさんが来ない日は、頭がおかしくなっちゃいそうで。あ、変なこと言ってごめんなさい……」
ミオカさんはうつむいて、顔を赤くしている。
なぜか全然わからないけど、恥ずかしがっているようだ。
「またどこかできっと会えるよ。妹に挨拶して、明日の朝に出発します」
「はい……。また会えますよね?また会えないとわたし、死んじゃいますから!」
ミオカさんは目を腫らして、泣きそうになっていた。
おいおい、死ぬって……。
俺なんかのために死なれたら困るぜ。
しかし、彼女いない歴=年齢かつコミュ障の俺は、こういうときになんて言えばいいかわからなかった。
「絶対、戻ってくるよ。安心してください」
俺は妹にするみたいに、ミオカさんの頭を撫でた。
女の子が泣いたときは頭を撫でるようにクソ親父が言ってたからな。
何がいいのかまったく理解できないが、とりあえず落ち着くらしい。
あ、妹にも挨拶しないとな。
もし黙って出て行くなんてことしたら、たぶん殺される……。
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