【追放魔術師の革命譚】追放された天才魔術師がヤンデレ美少女ドラゴンと世界を変える

水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴

第1話 天才魔術師、追放

「アリババ・サイード!お前は追放じゃあああああああああああああああ!!」


 アルトリア帝国の皇帝陛下が、俺に追放を宣告した。

 ここはエリート魔術学園の大講堂だ。

 赤いレンガ造りの大講堂に、全校の教師と生徒が集合している。

 今日、17歳になった生徒に神官がスキルを授ける儀式が行われていた。

 皇帝陛下ご出席のもと、一生が決まる大事な儀式だ。


「お前の父親は敵国に亡命した裏切り者だ。お前は非国民だ。さっさと帝国から出て行け!!」


 俺は親ガチャに失敗した。

 親父が貴族の大賢者のくせに革命にハマって、隣国に亡命してしまった。

 しかも今日の儀式で神官から授かったスキルは、【解読デコード】。

 暗号を解読するだけの、平民用の量産型スキルだ。

 貴族ばかりの魔術学園の生徒に、ふさわしくないスキルだ。


 ――そうだ!そうだ!!さっさと出て行け!!


 ――ちょっとできるからって調子に乗りやがって!!


 ――きめえんだよ!!コミュ障!!


 俺に追放コールが連呼される。

 教師も生徒も、俺を罵倒する。

 ふう……。俺は人から嫉妬されることには慣れていた。

 自分で言うのもアレだが、俺は天才魔術師だ。この学園の講義は俺からすると幼稚園のお遊戯会みたいなものだ。

 俺は小さい頃から、大賢者の親父に英才教育を受けていた。

 普通の子が外で無邪気に遊んでいる間、部屋に缶詰にされて、小難しい魔術書を読まされていた。

 そのせいで、俺はすっかりコミュ障になり、いつしか高機能社会不適合者ハイスペック・アウトサイダーと呼ばれるようになった。自称だけどな。

 当然、友達は0だし、彼女いない歴=年齢だ。


「わかりました。陛下が追放するとおっしゃるのなら、喜んで従いましょう」


 誰ひとり俺を庇う者はいない。スクールカースト最低辺の俺を助ける生徒はいないし、教師は自分より魔術ができる俺に嫉妬して、追放されろと思っている。


「国王陛下、賢明なご判断です。アリババは王国にとって危険分子です」


 俺を「危険分子」呼ばわりする男子生徒――生徒会長のアラジン・フセインだ。

 上級貴族の魔術師で、この学園の理事長の息子だ。イケメンで学園の女子に大人気。

 俺と正反対の、スクールカースト頂点に君臨する男だ。

 しかし、魔術の才能はなく、親の力と顔とコミュ力で学園を支配している。

 俺みたいなスクールカースト最低辺のゴミクズなんて、眼中になかったはずだが……。


「アリババくん。君は帝国にとって要らない存在なんだ。何も言わず、出て行ってくれないか?」


 優しく微笑みながら、アラジンは俺の肩に手を置いた。


「うるせえ。言われなくても出て行くよ」


 俺はアリババの手を振り払った。


「ふふふ。ちょっと魔術の才能があるからって、僕のように人に好かれようと頑張らないから、こういう目にあうんだ。君がこの学園からいなくなれば、ぼくがこの学園で1番になれる」


「こんな学園の1番なんていくらでもくれてやるよ」


 どうやらこいつが皇帝をそそのかして、俺を追放に追い込んだらしい。

 やれやれ。スクールカースト頂点の男が俺みたいな魔術オタクに嫉妬してたとはな。

 こんな帝国からはさっさと出て行くか。


 ……その前に、司書さんと妹には挨拶しておこう。








 

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