第二話 狐の伝説と謎の少女の噂
12月17日
奈良の実家に着いた。相変わらず何もないところだ。
「静かでいいところだなぁ、空気も気持ちいい。」
これに至っては本当だ、都心の重苦しい空気とは違う。
「司は昔から自然が好きだものね、心無しか顔色もいいわね」
母は澄んだ顔で空を見上げながら言った。
自然は好きだ、常に正直だが予測が不能で面白い。
「さ、私は御母さんに挨拶に行ってくるね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「それにしても、綺麗な森だなぁ」
司は、心の底から楽しんでいた。いっその事、自然の一部になってしまいたいとすら考えていた。そんな、物思いにふけっていると。
「おい、司!ボーっとしてないで荷物を下ろすのを手伝ってくれ!」
父がトランクを開けながら叫んでいた。
「あ!ごめん今行くよ!」
司は足早に父の元へ向かった
荷下ろしが終わり一息ついていると玄関に
祖母と母の姿が見えた。何処に行くのかと尋ねたら近くの稲荷神社に行くらしい。誘われたが断った、当然だわざわざお参りなど面倒くさい。
それに、狐は嫌いだ。何を考えているかわからないし、何より信用ができないイメージがある
そんな物が神として祀られているとは、確かに神聖なイメージはある何故だろう神仏とは不思議な物だ。
その夜祖父から食事の時に最近不思議な子が現れて町を助けていると聞いた。変わった奴がいる物だわざわざ人助けとは、何か裏があるのか?そんな事を考えながら司は眠りについた。
翌朝、(と言っても昼だが、、、)目覚めると両親の姿が見当たらない。何処にいったのかと祖父に尋ねると、買い物に行ったらしい。まいった、暇になってしまった。差し当たり、その辺を散歩する事としよう。
しばらく歩いていると、気になる会話が聞こえてきた。
「また、エリカちゃんが助けてくれたのよ〜ほんと助かったわ〜」
「あの子が、現れてから色々助かっているわね〜江戸時代からので伝説で狐が村を助けてくれるという話があるけれど、まさにそれのようね」
「あれだけ、美しい子だとそう勘違いしてしまうのも無理も無いわね。でも伝説の狐は男って話よ。残念ながら神様ではないわね。」
「残念ねぇ、でも本当に助かるわぁ」
なるほどなこの地域で狐が祀られている、理由がわかった。なかなかに面白い話だ古くから神や動物の人助けなどを理由に祀られている事が多い気がする。だが、想像ができない、人間の人助けなら何回も受けてきた。人は助けなしでは、生きていけないからだ。しかしほとんど見返りなどを求めてくるケースが多かった。
「神のその見返りを求めぬ助けなどに触れてみたい物だな」
そんな事を呟いていると例の神社が見えてきた
「行ってみるか...」
何かあるかもしれないそんな淡い期待を胸に司は心を弾ませながら、稲荷神社へ向かうのであった。
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