第40話 鬱とは心の風邪なんだなぁと思うのです。

 栗の花が咲き乱れ、あの異臭が匂ってくる頃、決まって男は『鬱状態』に突入してしまうのである。


 ◇ ◇ ◇


 かれこれ二十年以上前の事、男は派遣会社人売りの営業だった。

 まぁ、正気の沙汰では片付かない、海千山千の日々を送り続けていたある日、男は喉に違和感を覚えた。


 結果から言えば、『ストレス原因の逆流性食道炎』だった。

 ストレスの原因は、至って単純。

 まぁ、そんなわけで派遣会社人売りの営業をクビになり、なんだかんだと転職を重ね現在に至っている。


 というわけで『ストレス原因の逆流性食道炎』で悶絶していたのが、丁度この時期で、狙ったように『鬱状態』をぶり返してしまう男なのだ。


 ◇ ◇ ◇


 去年は、この作品を絶賛執筆中で『鬱状態』に落ちるような精神的余裕…というよりも、心理的な高揚感から『鬱』に落ちるような状況ではなかった。


 今年は、2月以降から始まる『残業祭りおかわり』+『休日出勤出てこいやぁ!』のお陰で、心身共々消耗戦に突入してしまう。


 困った事には、ここ半年の物価狂乱で、残業代は出ているわりに、生活は一向に改善する向きもなく、『じっと手を見る。』状態なのである。


 結局連休も、どこへ出かけることも叶わず…んで、創作は出来ていたのだが、結局『心』の開放は出来ずじまい…。


 それが、この度の『スランプ』の引き金となっている。

 まぁ、『鬱』というやつは、一度罹ると一生付き合わなければならない『風邪』みたいなものである。

 もっとも、『薬』に頼らず行ける間は、何とかなる。


 …まぁ、更なる深みにはまり込まないよう、程よくやっていこうと思う男であった。

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