第16話 自然まみれ?

最寄り駅は近くに無いが、という突飛な土地にきょを構えている男である。


この地に自宅を建て、生活を始めた最初の秋のある日、玄関の扉を開くと…。

10メートル先を、隣のおばさんのような顔で闊歩していく雄キジに出会う。

目と目があったところで、お互いに固まった雄キジと男。


排水路にヘビが迷い込むことは、あるかもしれないが、早朝、ゴミ出しにでかけたところで、排水路からテンが飛び出しびっくりしたこともある男。


最近は両隣に後ろも家が立ち並び、モグラもすっかりご無沙汰になっていた今日この頃。


だったのだが、


先程、帰宅途中の路上で夫婦連れのタヌキさんが仲睦まじく男の運転する車の前を横切って行った。

ボチボチ運転していたので、急ブレーキをするまではなく、そっと止まり、夫婦の仕草を車窓越しに微笑ましく見ていた。


外輪山の稜線から川に下る途中の段々畑とゴルフ場に隣接する細い小道

ここが、男の好きな通勤経路だ。


思えば、月曜日は同じ道を運転中に、路上を横切るイノシシの団体に遭遇。

あいつら気性が激しい上に、破壊力も抜群ときている。

新車に穴が空くのが嫌だったので、団体さんの列が途切れた所を見計らい、さっさと走り抜けてやった男。


そういえば、先週の木曜日は、道路から山側に沿った段々畑の一角で、シカの夫婦がこちらを見下ろしていたなぁ…。


初夏になると、栗の花のがしてくる、のどかな小道

今年は山の食料も少ないようで、連中の闊歩も多いらしい。

交通事故も多い昨今、彼らが事故に合わないことを願うばかりである。

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