デッサンモデル

Ⅲ．エピローグ

　以上が健太から聴いた話である。しかし、私は彼の言うことをあまり本気にしていなかった。

　Ｏ女子大学といえばお嬢様大学として有名だ。その学校のキャンパス内でそんなことが…私には信じられなかった。

　しかし、つい先日、私は四歳年下の従姉妹の話を聞いて健太の言うことが本当だと知りました。

　従妹は今年の4月に大学へ進学したのだが、入った大学は健太がヌードになったという例のＯ女子大学だ。

「サークルへは入るの？」という私の問いかけに驚くべき答えが返ってきた。

「私は茶道部へ入るんだけど、同級生に美術部が面白いって言ってる人がいるのよ」

「美術部？なんで？」健太の話を思い出した私は思わず聞き返した。

　すると彼女は大笑いしながら、こんなことを言い始めた。

　美術部では毎年、男性のヌードモデルのデッサン会をするのだが、去年のモデルは凄かった。

　デッサンされているうちに勝手に勃起して、しまいにはこらえきれずにオナニーを始めた。

　最後にはみんなの見てる前で射精し、精液は3メートルも飛んだ。射精した後の姿を撮ったビデオが先輩のスマホに残っている。

クラスの同級生は「私も射精が見たい」と言い、それが目当てで美術部入部を決めた。

　私は従姉妹に、「お前は美術部には入らないよね」と念を押した。

　彼女は嫌そうに「そんなの見たくないわよ」と返事した。

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　数日後、私は今年の春、N大学の食堂に来ていた。

　そして、よく食べていた400円のカレーライスを注文した。

　金がない大学時代はこのメニューが定番であった。

　卒業してまだ3カ月だったが、ずいぶんと懐かしい感じがする。

　その後、アルバイト募集の掲示板で張り紙を探す。

　一流企業に入社した私が金に困っている訳ではないのに…

　探していた張り紙はあった。

　　・求人票

　　　職種：モデル（男性のみ）

　　　賃金：２万円（3時間程度）

　　　場所：Ｏ大学中野キャンパス

　　　雇用主：Ｏ大学美術部

　　　連絡先：080-xxxx-xxxx（野中美穂）

　私は今、震える手でスマホにその番号を入力している。