第42話 回復呪文

さて、回復呪文。



現在住んでいる地域では積極的に見かけだけでは分からない持病を持つ人の為に『ヘルプマーク』を推奨しており、自分も常につけています。


子供の高校の入学後のオリエンテーション?はとても大変でした。

指定された時間に学校に行き、そこで必要なグッズを買い、持って帰る……教科書は流石に旅行用キャリー必要だったな。自分が座れる椅子付きのカートで行くんじゃなかった…。


しかも4階建てなので往復もきつい。

販売業者の説明も言葉足らずで分かりにくかった!!


おかげで各教室に移動して購入が終わった時点で燃え尽きた。体力が。


会話?


呼吸するので精一杯ですよ。


娘が大丈夫じゃなさそうな私に話しかけるけど、返事できない。文字なんて打つ余裕もない。

仕方がなく久しぶりにヘルプマークと一緒に入れてある、緊急時の対応などの書かれたカード部分を見せると……「……ホ◎ミ?」


はい?


渡したカードを見ると、いくつかの説明事項の最後に書いてありました。



『会話ができなくなる事もありますが、体力がなくなりかけているだけなのでホ◎ミでもかけてください』



………固まる私と娘。




先に動き出したのは娘でした。

「ホ◎ミ」


「…いや、これは…書き直すの忘れてた…やつで…」

ぜいぜい言いながらも、事情を説明する私。


「ホ◎ミ」


当然娘はふざけています。


私もしんどい中、自分の書いた文章を全文見る余裕はないものの、多分普段持ち歩いていない方の(財布が必要な時用のカバンと、不要で荷物を少なめして出かける用のカバンの2種類でわけています。財布を入れる鞄は遠出用でもあるので保険証やお薬手帳など、いざという時用の物も入れてて重いんです)ヘルプカードとセットし間違えたのと、書き直すために新しいのを貰おうと思いつつ忘れていた結果、必要な時に使えない物が出てきました。



結局、荷物満載のカートも、他の荷物も全て娘が背負い、軽めの物は私が持って学校から歩き、車を止めてある場所まで1キロぐらいを雨の中歩きました。


とりあえず、旅行用キャリーを買う事と、新しいヘルプカードを貰いに行こうと決めました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る