第3話

 理科室では竜巻の仕組みを観察する実験が行われていた。ドライアイスが筒状のビンの中を渦巻くと、子どもたちの無邪気な歓声が沸く。

 だが次の瞬間、歓喜は悲痛な叫びとなった。一人の女生徒が、おもむろに筒へ手を突っ込むと、ドライアイスを掴んだのだ。


「何してるんだ、サラ!」


 教師が叫びクラスメイトがざわめく中、サラの手の中でまるで冗談のように煙が湧き出る。そのあまりに平然とした態度から、彼女はなにかの異能力に目覚めたのではないかと思われた。

 だがその期待に反して、彼女の手はみるみる水膨れで膨れ上がり赤く腫れていく。


 やっと白い塊が解けると、少女の両手は見るに堪えない有り様だった。

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