第2話 目覚め

「あれ、私は何を……?」

気がつくと私はベッドにいた。

周りを見渡すと、近くにはシンプルなテーブルとイスがある。

ここは、たしか会社内にある仮眠室。何でこんな所にいるのだろう。

それに、さっきまで見ていたものは何だっけ。

まだ寝ぼけている頭で思い出そうとしていると、ドンドンと誰かがドアを叩いて部屋に入ってきた。

「エリス!目が覚めた?」

「ナージュ!」

私がちょうど起きた、グッドタイミングでのお迎えに思わず驚いてしまった。

ナージュはというと、とても心配そうな顔をしている。

ゆっくりと私のもとに近づき、そっと腕を伸ばして私の額に触れた。

「えっ?」と驚いている私を尻目に、彼女は安堵したのか胸をなでおろした。

「よかった、熱があるとかではなさそうだよね?

……もう、ミッションに行く直前に急に倒れたから本当にびっくりしちゃったよ。

覚えていない?」

それを聞いて私は急に、倒れる前に起きたことを思い出した。

衝撃で失われたパズルのピースがつながったように、見たものが鮮明に脳裏に浮かびあがった。

「……思い出した。

ミッションを行うためにゲームの画面に触れたら、何かの映像が頭の中に飛び込んできて。

立っていられないくらいの衝撃に襲われたと思ったら……気が付いたらベッドの上だった」

私は先月この企業に入社したばかりの新人だが、今日までに何回かミッションに参加している。

だが、こんなことが起こったのは今回が初めてだ。

自分の身体に起きたことをまだ受け入れられず、不安に襲われる。


そんな私の様子に気が付いたのか、じっと考え込むように話を聞いていたナージュは、私の両手をそっと握ってくれた。

「そっか、そんなことがあったんだね。

私には何が起こったのか分からないんだけど、もしかしたら先輩たちなら知っているかも。

エリスの体調が大丈夫そうなら、プランニングルームに戻ってみない?」

「そうだね、体調も回復したし戻るよ。早く今日のミッションもやらないといけないし」

私は何となく一抹の不安を抱きながらも、自分に起きたことを早く突き止めたくて私はナージュと共に仮眠室を後にした。

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