10日目(美久視点)
私は、職員室で担任の先生から一枚のプリントを渡された。
そのプリントは保健委員の人だけがもらえるプリントだった。
保健委員って言っても私だけじゃないから。私の隣には彼も居る。
私たちは、来週ある健康診断の件でホームルームの時に保健委員からの連絡で教卓の前に出てお知られしてくれないかしらと担任の先生に言われた。
「はい、分かりました。」
私はそう言って返事をして職員室を出た。
職員室を出た後、彼に一言だけ言って先に教室に戻った。
「光希君、よろしくね。」
彼はその言葉を聞いて呆然としていた。私は彼のその表情を見てちょっと教室に戻りながらくすくすと笑っていた。
その後、彼が急いで教室に帰ってきた。私はとっさにしゃがんで後ろのドアから教室を出た。私はこの時からではないが彼をいじるのがとても楽しいと感じた。
あれから数分が経ち、昼休みを終えるチャイムがなった。私は教室に戻って自分の席に座った。座った瞬間に彼が私の方に顔を向けてきたから私も何かわからないけど廊下側の方に顔を向けた。彼には申し訳ないけどぶっちゃけ楽しんでいた。
授業中、彼がずっと何かを考えているのが横目で見えた。私は心の中では助けてあげたいと思ってる。これは本当だよ。でもね、ぶっちゃけ楽しい。そう思っていた。
その後、私は授業が終わるたびにお手洗いに行った。彼がなんとなく話しかけようとしているのが分かっていた。でも、ホームルームになるまでは話しかけないようにした。
ついにその時がきた。6時限目の授業が終わり、皆が帰りの準備をし始めた。
私も帰りの準備を済ませて、担任の先生が来るのを待った。待っている時も彼が話しかけようと顔を私の方に向けていた。でも私は、机に顔を伏せていた。
その時、私の口角が上がっているのが自分で何となく分かった。
私は先生が来るのをずっと待った。そう思っていたら前のドアが開いた。
そのまま、ホームルームは始まった。先生があっという間に連絡事項を言い、すぐに保健委員からの連絡があるといい私たちの方に顔を向けた。
私がボケーっとしていると彼が教卓の前に出てプリントに書いてある内容を話していた。彼は話している最中、ずっとプリントだけを見ていた。皆の方に顔を見せないようにしている様子がとてもかわいいと思った。
そう思っていると話が終わって彼が自分の席に戻ってきた。その際に彼と目があった。私はこの時何か言われるかもと思っていたが何も言われなかった。
そのままホームルームが終わり、彼が教室から出ていった。私は追いかけるようについって行った。私は彼の袖をつかんで彼を止めた。彼が私の顔をずっと見ている。
「ごめーん。私が話してもよかったんだけどせっかくだからね。」
私は感謝の言葉を言おうとしたが言えなかった。だって彼がちょっと怒っている様に感じたから。
「美久が言わないから僕が代わりに言っただけ。ただそれだけだから。
じゃあ、またあした。」
彼はその一言だけ言って帰って行った。
ちゃっかり名前で呼ばれて嬉しがる美久でした。
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