10日目

僕は立ち尽くした後、すぐに我に返った。

どうして僕が言う事になるんだ。美久が言ってくれればいいのに。

美久ともう一度話がしたい、僕は急いで教室に戻った。

しかし、美久は教室に戻っていなかった。

美久が昼休みのチャイムが鳴ったのと同時に教室に戻ってきた。

僕は隣の美久に話しかけようと廊下側の方に顔を向けた。

でも、僕が顔を向けたと同時に美久も顔を廊下側の方に向けていた。

何故か僕の方に顔を向けてくれずに授業が始まった。

どうしても話がしたいのにまぁ授業終わってからでもまだ大丈夫かな。


そう思っていたがあっという間に6時間目まで終わってしまった。

あれから話す機会が作れなかった。作れなかったのではなく何故か話しかけようとすると避けられた。何故避けられるんだと机に顔を伏せながら考えていた。

僕が頭の中で考えているうちに担任の先生が保健委員を呼び出した。

担任の先生からもらったプリントを手に持ち前に立った。

僕は他の生徒の顔を見ずにプリントだけを見て、書いておることをそのまま読んだ。


プリントに書いてあることを読み終わったら僕はすぐに自分の席に戻った。

自分の席に戻る際に、美久と目が合ったが僕はそのまま自分の席に座った。

それから何事もなくホームルームが終わった。

僕が教室を出ていくと後ろから美久が話しかけてきた。


「ごめーん。私が話してもよかったんだけどせっかくだからね」


何がせっかくだからなのか僕には分からなかった。

「美久が言わないから僕が代わりに言っただけ。ただそれだけだから。

じゃあ、またあした。」


僕はそう言って帰って行った。

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