9日目 お出かけ(電車)
僕たちはすでに電車に乗っていた。
電車が来るまでそれとなく会話が弾んだ。でも美久がからかってくることが多くて受け流していた。
電車に乗り目的地を目指すのだった。僕たちは、ドア付近の方に向かった。美久を先に行かせて僕は美久について行った。ドアがあり、美久がいてその後ろに僕がいるみたいな感じ。少し距離を取って位置を保っていたが、今日は土日で出かける人が僕たち以外にも当然いるわけで電車の中が人混みになった。
電車がゆらゆらと動いている中、僕は目の前の美久と目がずっと合っていた。美久が顔を逸らしてくれないとまたいじられると思ったから僕も負けじと顔を逸らさなかった。
『美久が顔逸らしてよ。』
僕は自分の顔が赤くなるのを感じた。名前と顔がこんなに近いと恥ずかしくて死にそう。
『光紀君が顔を逸らせばいいじゃん。』
『絶対嫌だ。』
それから5分間もずっと顔を逸らさなかった。僕はここで気づいたことがある。美久の顔が真っ赤になっていた。僕も15センチもない距離に同世代の異性がいたら緊張するもん。ここで予想外なことが起こった。
後ろの人にぶつかりさらに美久に近づいてしまったのだ。美久の耳元の方まで近づいてしまい僕は急いで離れた。
『美久、ごめん。すぐ離れるよ。』
僕はすぐさま離れようとしたら美久に引き止められてしまった。なんなら、腰に手を回してきて僕は動揺のあまり固まってしまった。
『もう少しこのままでいさせて。』
そう言って美久は黙ってしまった。僕は、何も言えずにただただ外の景色を見ることしかできなかった。
このとき、周りの人からどう見られているのかで僕の頭が一杯一杯だった。別にこと時間は嫌とは思わなかった。
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