9日目 お出かけ(待ち合わせ場所にて)

日曜の朝が来た。昨日、服を買いに行って家に帰ってきたら美久から電話が来た。

電話の内容は、待ち合わせ場所と時間だけを言って電話が切られた。簡潔で分かりやすかったが少し機嫌が良くなかった気がする。気のせいだったらいいんだけど。

そんなことは気にせず準備をしないと。昨日買ったアウターみたいなものに合うように服装を選んだ。後は、普段はあまりつけないけど今日はワックスをつけてみた。

べっとりつけずに軽くつけることにした。ワックスをつけて準備が整い、家を出た。


家を出て待ち合わせの場所に着いたが待ち合わせの時間よりも1時間早く着いてしまった。待ち合わせ時間は10時30分なのだが、今は9時30分。流石に美久はまだきていないだろうから周りをすこし歩くことにした。そうしたら偶然かわからないが美久に似た人がベンチに座っていた。僕は覚悟を決めて近づき声をかけることにした。


「あああずずずままさん、おはよう。」


僕は小さい声で声をかけたがそのせいで声が震えてしまった。美久は僕に気づいてなかった。なぜなら、美久はベンチに座りながら寝ていた。僕ば声の音量を上げるよう心掛けた。


「あずまさん、おおきて。」


「あれ、光希君だ。おはよう。」


美久は、目をこすりながらこっちを見てきた。


「あずまさん、1時間も早く来てたんだ。待ちました?」


「ううん、全然待ってないよ。なんなら光希君だって1時間早く来てんじゃん。」


「待たせるのは悪いかなって思って早く来たんだけどそしたらベンチにあずまさんがいた。」


「なーんだ。そっちの理由か。てっきり私に早く会いたくて1時間早くきたわけじゃないんだ。」


美久はじーっとこっちを見てくる。

僕はビクッとした。一瞬そう思ってしまったから。ここで間を作ってしまうと疑われてしまうのですばやく返事をした。


「それじゃ、行こう!」


「何か話を逸らされた。まぁいいけど。じゃ、行こ!」


僕は歩きだそうとした瞬間に美久に止められた。何だと思い、美久の方を見た。

美久はこっちを見てくるが一切ベンチから立とうしなかった。僕はその場で考えた。

僕は分からずに美久に聞いた。


「なんでベンチから立たないの?」


「もーなんで気づかないの。手出して。」


「はい。」


僕はそう言って両手を美久の目の前に出した。


「片手でいいのに。勢いで両方出しちゃたんだ。」


美久が笑っている。僕は恥ずかしくなって、そっぽを向いて左手だけを出した。

僕は、次の瞬間驚いた。美久が僕の左手に手をのせてきた。僕はびっくりして自分の手を自分の方に戻そうとしたら美久に手を握られた。


「光希君、今日は出来るだけ手を繋いでいこう。手を離したら罰ゲームね。」


そう言って目的地を手を繋ぎながら向かうのであった。手を繋ぐのがこんなに緊張するものだと今日知った僕であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る