6日目(美久視点)
昼休み、私は隣の光希君が1人でお弁当を食べようとしている光景を目の前で見ていた。私は、なんで1人で食べようとしているのか分からなかった。前は一緒に食べてくれたのに。私の方を向かずにお弁当を食べようとしていたので本人に直接聞いてみることにした。
「光希君、一緒に食べよ?」
光希君は一度誘ったら断れない性格なはず。大丈夫、そう私は思っていた。
光希君が私の方を見て喋りだした。
「東さん、今日はやめとこうかな。」
私は帰ってくる返事が予想と違っていて戸惑った。でも、私は諦めない。そう言ってまた喋りだした。
「なんで? 一緒に食べようよ。」
私は粘ってみることにした。
「今日は1人で食べたいかなって。」
まだ断ってくる。私は少し考えた。なんで一緒に食べたくないのか。前回は、私含めて女子が5人と男子が光希君だけだった。これが原因だとすぐに気づいた。でも男子を誘うにも、知らない人ばっかりだし。やっぱり、光希君だけがいいなぁ。からかうの楽しいもん。本心を言う事にした。
「本当はあの中で食べるのが嫌なだけじゃないの?」
光希君の表情が変わった。光希君は表情がころころ変わるからからかってたのしいなぁ。どう答えてくるか楽しみだった。
「そそんなことないよ。女子たちだけで食べて。」
「やっぱり嫌なだけじゃん。じゃ、私と2人でならいいでしょ?」
ここまではっきりしないなら実力行使するしかない。そう思って自分の机を持って光希君の机にくっつかせた。
「もうこれで断れないよね?」
「うん。」
それから、光希君と2人でお弁当を食べることになったんだけど光希君がずっとお弁当を真剣に食べていた。もぐもぐと食べている所や頬が少し膨らんだりしてとてもかわいいと思っちゃった。そうして光希君の方をずっと見ていると流石に見すぎだと注意されそうだから、光希君を見て思ったことを口に出した。
「光希君、真剣にお弁当を食べてて何か可愛いね。」
「可愛い? 普通に食べているだけだよ。」
「そこが可愛いだって。じゃあ、私の唐揚げあげるよ。」
「よくわからないけど唐揚げは貰う。」
やっぱり、唐揚げ大好きなんだ。
「どーぞ。美味しい?」
「まだ食べてないけど。」
そう言って光希君は私の唐揚げを食べた。私にバレないように表情を隠しているつもりみたいだけど全部バレバレだよ。だって、全部隠しきれてないもん。私は少し後ろを向いて笑った。光希君にバレないように咳ばらいをして前を向いた。
「美味しかった?」
「うん、美味しかった。」
私はその言葉を聞いて凄く嬉しかった。でも、バレないように机の下に右手を持っててガッツポーズした。すぐに手を机に持ってきた。光希君はお弁当を食べ終わったみたいだけど、私はまだ残ってる。私は、急いで食べ始めた。食べていて気付いたことがある。さっきから光希君がずっと私のことを見ている。なんで、ずっと見てるんだろう。聞いてみることにした。
「光希君、なんでさっきからずっと私の事見てるの?」
「東さん、お弁当綺麗に食べるなぁと思って。」
「お母さんに食事は綺麗に食べなさいって言われているから。そのせいかも。」
ちょっと恥ずかしかった。そんなところ見なくていいのにと思った。でも、こういう小さい所をちゃんと見てくれているんだと思ったら頬が熱くなるのを感じた。
「東さん、顔赤いけど大丈夫?」
「ううん。大丈夫じゃない。」
「えっ!」
私は席を立ってダッシュでトイレに駆け込んだ。
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