お人形
大阪の家は、京都寄り。
電車に乗って2駅も行けば、もう京都府になる。
平安京の前の長岡京の近くだし、山崎の戦いの山崎も近くにあるし、古墳群も多くて、めっちゃ歴史的な土地だ。
家に入った瞬間に霊の存在を感じてしまった。
2Fにボクの部屋はあったから、2Fに上がってみようと、階段を2~3段登っただけで、もう、上に何かの霊の存在してるのを強く感じた。
「よくわかんないけど行ってみるかーっ」
って思って、階段をかけ登り、ボクの部屋にバーッと入ってみた。
部屋に入った瞬間、やっぱり霊のいる雰囲気を察知してしまった。
今まで霊感など感じたことなかったから、初めて霊の存在というものを実際に感じることになった。
大阪と京都の府境の辺りで、色々な時代の色々な霊も存在している土地柄なのかな~って思った。
そして中3にもなったから、歴史的な霊も感じるようになったのかなあ~って。
中2くらいまでは、霊の存在なんて、まったく感じなかったからなあ。
急に家に入って来たボクに、部屋の霊も戸惑って、びっくりしてるのだろうか?
ボクもどうしていいのか、わからなかったけど、霊のほうも、どうしていいものか、わからなかったのかな~って。
ボクはとりあえず、松山の「みきゃん」のぬいぐるみと、沖縄のシーサーの置物を部屋の中に並べてみた。
「こんにちは~。これから、よろしくお願いします~」
って言ってみた。
「よろしくね~」
っていう、可愛い女の子の声、一瞬、聞こえたような気した。
それから、部屋に入った時、なんとなく、お人形さんの存在を感じた。
でも、部屋にはお人形さんなど、どこにもなかった。
だから、もしかして、前の住人の持っていたお人形さんなのかな~って思った。
なんとなく、ハワイとかタヒチあたりの女の子のダンサーさんみたいな感じのする可愛いちっちゃなお人形さん。
大阪の中学に転校した初日は、学校に行ったら、みんなは学年集会で体育館に行っていた。
ボクは何も言われてなかったから、自分のクラスの廊下で、みんなの戻って来るのを1人で待っていた。
転校は何回かしてるから、もう、そんなに、めちゃめちゃ緊張とかはしてないけど、中3っていう、高校受験を控えた微妙な時季だし、大阪っていう場所だったから、少しは、1人で廊下で待ってる間ドキドキしていた。
しばらくして、タッタッタッタ~っていう上履きの音、聞こえてきた。ボクの待ってるほうに、その音は、だんだん近づいてきてるようだ。
「あんた、そんなとこで何してんねんなーっ」
っていう声といっしょに女の先生、ボクのところにあらわれた。
「えっ?何をしてるって...みんなの帰ってくるのを待ってるんですけど...」
「なんでやねんなっ!あんたも体育館に来なあかんやんっ」
「えーっ!なんも聞いてないんですけど...」
「あっ!そうやったっけ...ごめんごめん...みんな待ってるから、はよ体育館に行くで」
先生は、ボクの手をひっぱって、体育館へとボクを連れて行ってくれた。
体育館に着いたら
「じゃあ、みんなの前で、転校のあいさつして!」
って先生に言われた。
「えーっ!いきなりーっ?みんなの前でーっ?」
って思ったけど
「まあ、いっか...」
って、体育館のステージの上に上がって、真ん中まで行って、並んでいる3年生のみんなに向かって
「沖縄から来ました!よろしくお願いします」
って言ってみた。
みんなの顔を見てみたら、みんな面白そうに聞いてくれてるから、これは、ちょっと何か話をしてやるか~!って思った。
「沖縄はあったかいです。太陽はキラキラしてます。海もめっちゃきれい。西表島に行った時は、夜空の星、めちゃめちゃ多くて、天の川まではっきり見えたから、みんなにもぜひ見てもらいたいです!」
実際、転校して初めてで、こんなにしゃべって良いのか?って思ったけど、わざわざ体育館のステージの上に行って、みんなの前であいさつしてるのに、一言だけのあいさつで終わって良いのか?って思ったから、いろいろ話をしようかな?って思って、みんなの前でしゃべり出した。
「沖縄の家は那覇の港のすぐ近くにあって、6Fだったから、めっちゃ見晴らし良くて、港の大きな船とか、いっぱい見えました」
しゃべりながら、みんなの顔を見たら、みんな面白そうに聞いてくれてるし、並んでいた先生方を見ても、みんな、うんうんって嬉しそうにうなづいて聞いてくれてるから、よしっ!もうちょっとしゃべろう!って思った。
「沖縄の海では魚もいっぱい泳いでいるし、ビーチには星の形の砂もあります。風はあったかいし、クリスマスやお正月もトレーナー1枚で過ごせますっ」
って言ったら、みんな笑ってた。
話を終わったら、みんなパチパチパチパチ~って手をたたいてくれていた。
ステージから降りて、ボクのクラスの列にボクも並んだ。そして朝礼も終わってから、みんなといっしょに自分のクラスへ向かった。
自分の新しいクラスの教室に入って、担任の先生に、ボクの席を教えてもらって、それから3年生初日の先生の話を聞いた。
みんなは初日から、ボクのことを女子のように見てくれてる感じだった。
だから、どちらかというと、クラスの女子から話しかけられた。
沖縄の話とかをしたら、教室でも、みんな面白そうに聞いてくれる。
みんな、そのひとのオリジナルなネタを好きなんだろうな~って転校初日に感じた。
そういうところは大阪なのかもな~って思った。
転校してきて、体育館のステージの上で、みんなにあいさつして、しかも結構みんなボクの話を面白そうに聞いてくれてるから...
でも、みんなの前で自分の話をしたことで、なぜだか、なんとなく、大阪にも自分も慣れてきたように思えた。
やっぱり大阪って、ひとの話を聞くの好きなのは、本当なのかもしれないなって転校初日に感じた。
みんな自分の話をするのも好きそうだけど、その分、ひとの話を聞くのも、また、めっちゃ好きそうな感じもする。
教室でも、女子といろいろ話をしていた。
見た感じで、みんなボクのことを女子のように思ってくれているのは転校初日なのに感じられた。
帰り道も、クラスの女子たちといっしょに帰った。
中学の近くは、木々も多くて、緑いっぱいの場所だ。色とりどりの花も咲いている。
自然にあふれた道を女子のみんなといっしょに帰るのも結構楽しかった。
中1の時は松山城のふもとの中学で、帰り道も松山城のある山を降りていくような感じだった。
中2の時は那覇の街のわりと中心にあるから、学校から那覇の街を歩いて、港の近くの家に帰るような感じだった。
大阪の家は、大阪府の中心ではなくて、ほぼ京都府に接している大阪なので、中学の先には古墳もあったりする自然にあふれた場所だ。
家に帰ったら、空里も初の中1で、顔を紅くして学校から帰って来ていた。
でも、なんとなく、空里の雰囲気を見て、学校でみんなと、やっぱりボクと同じように、色々としゃべってきたんだろうな~っていう感じはしていた。
中1でも、まわりのみんなは小学校の時からの友達もいっぱいいるだろうけど、空里は沖縄の小学校を卒業して大阪の中学に入学したから、まわりには小学校の時の友達はいないし...
言葉も今までは大阪弁をしゃべってはいないし...
でも空里を見てたら、学校で初日に、もうみんなと色々しゃべって仲良くなってるような感じだった。
だから、そんな雰囲気の空里を見て、良かったな~って、ボクも思った。
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