第17話 犯人の魔の手

 ポラリス達は第七演習場で定期試験の対戦相手となる学生の対策を立てていた。


「今回の定期試験の対戦相手は本科二回生のアルフレット・ノルフィン。詠唱も印もなしで風の魔導を発動できる魔導師だ。ポラリス単体なら相性最悪の対戦相手だ」


 ノックスはいつも通りの饒舌な口調でポラリスとマンゲツに説明していく。

 ポラリスは魔力が視えない。

 魔導師は風の魔導を見極める時に術者の魔力を目視して判断する。その判断をポラリスは取る事ができない。ノックスの言うようにポラリスにとって最悪の相手だ。


「だがそれはあくまでポラリス単体での話だ。俺が相手の魔力の種類を見分けてポラリスとマンゲツに指示をすれば確実に高得点を得られる。俺の想定では千百五十点は堅い」

「千百五十点⁉」


 ノックスの口から出てきた理論上最高得点を聞いたポラリスは驚愕で口を大きく開いてノックスの言った得点を復唱した。


「その点数はどれくらいすごいのですか?」

「今の二回生序列一位の二人組デュオが本科で初めての定期試験で獲得した点数は千百二十二点。その点数を上回ってるんだ。こいつが驚くのも無理はない」


 マンゲツはポラリスの驚愕ぶりにどれだけすごい事なのか尋ねると、ノックスはマンゲツに自分の言った点数の意味を伝えた。

 それを聞いたマンゲツも驚きで紺碧の瞳を大きく見開いた。


「今言った点数が堅いとはいえ、まだポラリスは新しい魔装を俺の《魔導強化》《エンハンス》と組み合わせての魔装術を使いこなせていない。まずは試験当日までに使いこなすのが課題だ」

「そうだな。あともう少しで新しい魔装を使いこなせるんだが」


 ノックスはポラリスに課題の一つ、新たな魔装二種類をノックスの魔導と組み合わせて使いこなす課題について指摘するとポラリスもあと少しで完璧に使いこなす領域に達している事を実感していた。


「まぁ、お前もそれを理解してんなら良かった。けど夜も遅い。門限も近いし、寮に戻るか」


 ノックスは立てた戦略を伝え終わり寮に戻るようにポラリスとマンゲツに伝えた。

 ノックスはポラリスとマンゲツより先に寮へ戻っていく。


「戻るか、マンゲツ」

「承知いたしました。主様」


 ノックスから寮に戻るように言われたポラリスとマンゲツは寮へ戻る準備をする。

 ポラリスとマンゲツは寮に戻る道中で無言のまま寮へ戻っていると、マンゲツはふと夜空を見上げて足を止めた。


「どうしたんだ? マンゲツ?」


 足を止めて夜空を見上げるマンゲツにポラリスは尋ねた。


「主様。今日の夜空に月が見えません」


 夜空を見上げているマンゲツは神妙な表情で夜空を見上げたまま、尋ねたポラリスに話す。

 ポラリスも夜空を見上げると夜空に月が一切映っていなかった。


「今日は新月だからさ」

「しんげつ?」


 ポラリスは今夜の月が新月である事をマンゲツに伝えるとマンゲツは初めて聞いた言葉を繰り返して口にした。


「月と太陽の位置の関係でオレ達のいる場所から月の光が一切見えない時の名前を新月って言うんだ」


 ポラリスはマンゲツが疑問に思った新月を説明するとマンゲツは見上げていた夜空から目を外して下を見た。


「なんだか私みたいですね?」

「いきなりどうしたんだよ? マンゲツ?」


 マンゲツは下を見て表情に陰りを見せると、ポラリスは真剣な表情でマンゲツに尋ねた。


「最近思うのです。もし私がいなかったら主様も今のように他の方々から心無い言葉を向けられないはずだと」


 マンゲツの口から紡がれた言葉は自身の存在を否定する言葉を口にしていた。

 マンゲツの言葉を聞いたポラリスはすぐに「オレはそんな事思ってない」など慰めるべきなのだと理解している。けれど今のマンゲツはかなり精神的に疲弊しているようだった。


 ポラリスがすぐに思いつくような慰めの言葉もマンゲツなら感謝の言葉を返すだろうが根本的な解決にはならないのが分かっていた。

 ポラリスはどんな言葉をかければマンゲツが精神的に楽になるのか考えた。けれど一言も浮かばなかった。

 何も思いつかないまま夜空を再び見上げたポラリスは無意識の内に口が開く。


「知ってるかマンゲツ? 新月の時の夜空は星の光が一番強く見えるんだ」

「えっ?」


 ポラリスが無意識で口にした言葉を聞いたマンゲツも再び夜空を見上げた。

 夜空を見上げたマンゲツの視界にはポラリスの言ったように今まで見た星空の中で一番星が強く綺麗に輝いていた。


「主様の言う通りです。星がすごく綺麗です」

「オレ、綺麗な円になって光輝く満月の夜空も好きだけど、新月の夜空も好きなんだ。なんか満月の背中で星達が自分の持つ輝きを完全に発揮できるみたいで」


 ポラリスが夜空を見上げながらマンゲツに新月の夜空の美しさを語っているとマンゲツは月のない星空を見た。


「夜空の光は月と星で満たされてる。それは太陽の光に遠く及ばないから昼に月と星の光は見えない。けどオレは太陽が沈み切って強い光がなくなった真っ暗な夜空に、こんな綺麗な光が見えるのは何か得した気分になるんだ」


 ポラリスは夜空を見て幼少期に孤児院の院長から教えてもらった夜の光について話していると、隣にいるマンゲツは下を向いていた時の陰りが消えて紺碧の瞳を輝かせて夜空を見ていた。


「そうだ。マンゲツに渡さないといけないものがあるんだ」


 ポラリスは思い出したかのように懐から何かを取り出した。

 ポラリスが取り出したものは紺碧の鞘に納まっている短剣だった。


「これは、魔装ですか?」

「そうだ。これはマンゲツの魔装だ」

「私の、魔装?」


 ポラリスは短剣の魔装をマンゲツに渡すとマンゲツはその細く綺麗な両手で渡された魔装を受け取った。


「この魔装にはまだ銘が打たれていない。ノックスが言うには使い手自身が銘を打った魔装はすでに銘を打たれた他の魔装よりも魔力の親和性が高くなる。だからマンゲツの魔装にマンゲツ自身が銘を打つんだ」

「私自身が、ですか?」


 受け取った魔装を持ったまま戸惑いを隠せないマンゲツはポラリスを見る。


「そうだ。けど焦らなくていい。マンゲツが納得できる銘を打つんだ」

「承知いたしました。主様」


 不安げに見てくるマンゲツにポラリスは微笑みを浮かべて焦らずに銘を考えるように言った。

 マンゲツもポラリスの表情と言葉に少し安堵した表情を浮かべた。


「ヤバッ! 流石に寮に戻らないと門限を超えちまう! 走って戻るぞマンゲツ!」


 ポラリスはマンゲツと長話をしてしまい門限までの時刻をすっかり忘れていた事に気付きマンゲツの腕を掴んで走って寮へ戻った。

 急に腕を掴まれて走る事になったマンゲツは、最初は驚いたがポラリスと初めて出会った時と同じ状況だと気付いて、なぜか心の奥で初めて会った時と同じ温もりを感じた。



定期試験当日。



 第一闘技場内の控室でポラリス達は試験時間まで控室で待機していた。


「少し席を外す。ちゃんと試験の準備しておけ」


 そう言うとノックスは自分達の控室から退室しようとする。


「試験開始時間までには戻って来いよ」


 ポラリスは自分の魔装の手入れをしながら控室から退室するノックスへすぐに戻ってくるように声をかけた。

 退室したノックスを見送ったポラリスは漆黒の魔剣シリウスの手入れをしていた。


「主様」


 魔装の手入れをしていたポラリスの傍でマンゲツはポラリスを呼んだ。


「どうした? マンゲツ?」


 ポラリスは魔装の手入れをする手を止めてマンゲツの方を見た。

 ポラリスの視界に映るマンゲツは先日ポラリスから渡された短剣の魔装を手に持っていた。


「主様からたまわった魔装の銘についてなんですが……」

「もしかして、その魔装の銘が決まらないのか?」


 ポラリスはマンゲツの持っている短剣の魔装に未だ銘を打てずにいたのか尋ねると、マンゲツは申し訳なさそうに「……はい」と呟いた。


「私が主様と同じ魔装を使うだけでもこの上ない褒美です。ですが私が主様から賜った魔装に銘を打つなど私の身に余ります。できれば主様に銘を打ってもらいたいのです」

「だめだ」


マンゲツは未だに自分の手に持つ魔装を見ながら自分が魔装に銘を打つ事に抵抗を感じていた。主であるポラリスに銘を打ってほしいと頼むが、ポラリスはマンゲツの頼みを断った。


「前にも言ったが、この魔装はマンゲツの魔装だ。マンゲツが銘を打たないと意味がない」

「ですが——」

「オレだって最初に魔装の銘を打つ時はどんな銘を打つか時間がかかった。オレはその時印象的だったものを銘にした。マンゲツも印象に残ったものを銘にすればいいんじゃないか?」


 ポラリスは銘を打てないマンゲツに漆黒の魔剣の銘を打った時の事を教えた。

 ポラリスの話を聞いたマンゲツは「印象的……、印象的……」と何度も呟いた。


「まだ試験まで時間はある。それまでじっくり考えてみるんだ」

「承知いたしました」


 ポラリスの言葉に返事を返すとマンゲツは自分の手にある魔装を見ながら何かを呟く。

 その姿にポラリスは生暖かい目で見ていた。

 しばらくしてポラリスは《漆黒の魔剣シリウス》の手入れを終えて腰に携えると、マンゲツは未だに銘を考えて呟いていた。


「しかし遅いな。ノックスの奴」

「確かに。ノックスさんが退室してからかなり時間が経ちました」


 ノックスが控室から退室して結構な時間が経過した。

 ポラリスが退室する前に声をかけた時にノックスは何も声を返さなかった。

 ノックスは人の話を素直に聞く奴ではないが、守れない事は素直に反論する奴だ。

そのノックスが何も反論しないで控室を出た。


「何か控室の外が騒がしいですね?」


 マンゲツは急に控室の外から聞こえる声が騒がしくなっていた事に気付いた。

 ポラリスはその時、嫌な予感が奔った。


「マンゲツ! ここで待っててくれ! ノックスを探しに行ってくる!」

「主様?」


 ポラリスはマンゲツに控室で待機するように言うと、すぐに控室から退室した。

 控室から退室したポラリスは目の前のざわついている学生達の人混みを描き分けて目の前を進んでいく。

 人混みをかき分けて進むポラリスは人混みを抜けると『立入禁止』の看板が置かれていた。


 看板の先には闘技場の多目的空間が広がっていた。そしてポラリスの視界に映る多目的空間の一角に担架を持つ救護隊が一人の学生を担架に移していた。

 担架に担がれた学生はうつ伏せにされて救護隊が運んでいく。

 担架を運ぶ救護隊はポラリスの目の前を通過した。ポラリスは救護隊が運ぶ学生の姿を見た。


 担架の上でうつ伏せになっている学生の背中にはナイフが刺さっていて、刺された部分の制服は血が滲んでいた。

 担架に担がれた学生はポラリスが嫌という程見てきた男子学生だった。綺麗な金髪をしていて普通にしていれば美少年と言って差し支えないその人物は出血多量のためか意識を失って顔色も青ざめていた。

 担架で運ぶ救護隊がポラリスの目の前を過ぎ去った直後、ポラリスは頭が真っ白になった。


「何で本当に襲われてんだよ……、ノックス……!」


 奥歯を食いしばるポラリスから離れる担架に担がれたノックスは救護隊が第一闘技場の外へ運んでいった。



 ノックスが自分達の控室から退室した後、すぐに第一闘技場の多目的空間へ向かった。


「呼び出した時間ちょうどに来るとは、流石は風紀委主幹補佐様だ」


 多目的空間に来たノックスの目の前には風紀委主幹補佐のカミラ・シューゼインが立っていた。


「私を呼び出して一体何の用ですか?」


 ノックスに呼び出されたカミラは虫の居所が悪いのか、眼鏡の奥はノックスを睨んでいた。


「ちょっと話がしたくてさ。別にいいだろ? 事件に関係する話なんだからさ?」


 不機嫌なカミラに対してノックスは笑顔を浮かべて事件に関係する話がしたいと伝えた。


「分かりました。では早く話をして下さい」

「それじゃ、話を進めるか」


 カミラは渋々了承して話を進めるように告げると、ノックスは多目的空間に置かれている椅子に座った。


「学院の後期に学生総代を決める選挙がある。この学院の学生総代を決める選挙は立候補者数名と前学生総代が推薦する候補者一名によって学院の学生達が一人一票の投票で次の学生総代が決まる。一見公平に見えるこの仕組みも昔からの学院の慣習で前学生総代の推薦した候補者に投票する学生が大半だ」

「それが事件と関係があるのですか?」


 淡々とそれでいて饒舌に語るノックスに対してカミラは話が理解できない。


「学院の役職に就いた学生は卒業後、国を動かす政治家として活躍している。それ故ここの学生は序列を上げる以外に学院の役職に就き名声を上げる奴もいる。特に学生総代はマギノリアス統一国の宰相となるための登竜門とされている。だからこそ学生総代の席を争う人間は多い」

「事件と関係ない話をするなら私はもう戻ります」


 ノックスが滔々と話す様子に呆れるカミラは踵を返そうとするが、ノックスは一向に口を閉じずに喋り続ける。


「その上、現学生総代で三回生序列一位のラインハルト・オルターは学院の学生や教師陣だけでなく他の貴族からも一目置かれるカリスマだ。そいつが推薦する候補者が次の学生総代に当選するのはほぼ確定だろ。そして学生総代は自分の右腕となる補佐兼秘書を決められる決定権を持つ」

「その話と今回の事件が繋がるとは到底思いません。一体何の話をしているのですか?」


 話の意図が読めないカミラを無視して饒舌に語るノックスは依然と語り続ける。


「俺はこれでも一等爵位の生まれで、いろいろと貴族社会の噂を聞いている。俺達が容疑者を絞り残った一名、アイリス・ジオグランは魔装使いの名家の次女として生まれて追随ついずいを許さない類稀たぐいまれな魔装使いの才能に恵まれ、十歳にして国の保管する七大魔装の一つが彼女を使い手として選んだ」

「今度は学院と全く関係ない話をする意味が分かりません」


 次は学院に関係ない貴族社会の話題を変えて饒舌に語るノックスにカミラも呆れていた。


「そのアイリス・ジオブランはその後も魔装使いとしての腕を上げ続けて、今では七大魔装の五つが使い手として選んだ。多数の貴族の人間から将来、七大魔装全てが使い手として選ぶと彼女を期待しているが、ごく少数、今まで七大魔装の使い手となっていた家系の人間からは自分が選ばれた魔装を奪ったと私怨極まりない怨恨を向けられてる」

「一体あなたは何を言いたいのか皆目見当がつきません」


 淡々と語っていたノックスは徐々に口調に高揚感が生まれていく。そのノックスをカミラは憐れな者を見る視線を向けた。


「あんたも七大魔装から選ばれた事もある優秀な魔装使いを輩出してきた四等爵位のシューゼイン家の息女で風紀委主幹補佐の立場だ。現学生総代のラインハルトは次の学生総代に二回生の序列一位の二人組デュオの一人、ルーク・アリアドネを推薦する噂が学生の中で流布されているのは知ってるだろ? そしてそのルークが次の学生総代になった時に右腕として選ぶのがアイリス・ジオグランって噂も流布されてる。ここまで話せば俺の言いたい事は伝わるか?」

「……何の事か見当がつきません」


 ノックスの高揚感が増していく言葉にカミラは初めて言葉を詰まらせた。


「この前の事件現場でフィルラインは現場にいた俺達と合流した時、ラインハルトに言ったんだ。『今まで以上に凄惨だと聞きました』って。おかしいと思わないか? 現場には学生は両手の指で数えきれる程の人数。しかもフィルラインが来た時にはすでに被害者は担架に運ばれた後だ。『今まで以上』なんて断定できるわけがないんだ」

「……言葉のあやなのでは?」


 今までの話からフィルラインを話題に挙げたノックスにカミラは言葉の綾と擁護した。


「確か今まで学生総代になった学生は全員学生総代補佐兼秘書の肩書だったよな? だが現学生総代のラインハルトは次の学生総代にルークを推薦するとしたら現学生総代補佐兼秘書のフィルラインは次の学生総代になる可能性は限りなくゼロになる。そしてそのルークが右腕として選ぶのはごく少数の魔装使いの貴族から恨まれているアイリスだ」

「…………」


 誰からも分かる程に高揚感を感じる饒舌な口調のノックスにカミラはついに沈黙した。


「俺達が容疑者を尾行したその日に事件が起きるなんてあまりに都合が良過ぎる。まるで俺達にわざと容疑者を絞らせたようだ。まぁポラリスは偶然アイリス・ジオグランの尾行に失敗したが、誰かがアイリスを尾行するポラリスの邪魔をしたかもしれない、なんて事も考えられる」

「…………」


 ここまでのノックスの饒舌な語りに対して沈黙するカミラはノックスがすでに犯人を知っていると確信した。


「もしアイリス・ジオグランが魔装強盗事件の犯人として捕まればラインハルトの立場でも右腕として選ぶと噂されているルークを推薦しにくい。そして消去法で学生総代補佐兼秘書のフィルラインを推薦する。そして少数の貴族からは怨恨対象のアイリスは失脚する。この上ない偶然と思わないか? シューゼイン家の息女で風紀委主幹補佐のカミラ・シューゼイン?」


 話を終えたノックスは自分の背後に立っているカミラを一瞥したが、かけている眼鏡が光を反射してカミラの瞳は見えない。

一瞥したノックスはすぐに前を見た。


「まあ。俺の憶測だからこれが本当なのか分からないし、物的証拠があるわけでもない。けどここまで話を聞いてくれたって事は俺の憶測に興味を持ったと思って——」


 ここまで饒舌だったノックスの口が止まった。

 ノックスは自分の背中に異物が混入した悪寒と強烈な痛みが奔る。

 ノックスはあまりの衝撃に椅子から床へうつ伏せに倒れた。


「——一体……な……にを……?」


 床に倒れたノックスは自分の背中から血が流れて床に血溜まりができていく。

 ノックスは首を曲げて後ろにいるカミラの方を見た。


「やはりあなたを協力者に選抜する会議で他の人材を強く推しておくべきでした」


 ノックスのかすんでいく視界に映るカミラは床に倒れているノックスを凍てつく視線で見下していた。


「このナイフは元々アイリス・ジオグランの所持品です。これで事件の犯人の正体を知ったあなたが犯人に殺害された脚本シナリオが完成しました」


 ノックスを見下すカミラは淡々と冷たい声音でノックスに話した。


「さようなら。ノックス・イングラム」


 ノックスを見下していたカミラは床に倒れているノックスから離れていき多目的空間を出て行き第一闘技場から去っていく。


 去っていくカミラにノックスは床に倒れた状態で必死にカミラの方へ手を伸ばす。

 しかし出血により意識が遠のき、ノックスは伸ばした手が床について何一つ動かなくなった。

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