第5話 再戦 Part3

充快チーム3勝 vs 瀬山チーム3勝


「これで3対3。勝負はわからなくなった」


「(これで最終戦は、俺が出ることに…。

それよりも、瀬山さんが言ってたこと。

六繋天って何だ?

この世を作り変えるほどの力があるって、じゃあ俺は、いや、俺だけじゃない。今まで戦ってきた人達はみんな、そのために利用されてたってことか?

俺は、そんな力のために戦っていいのか…)」


「そこで見ているんだろう?」


「!」


瀬山が壮人の方を見る。

壮人は観念して姿を現した。


「あっ、お前! 守り神と戦った時の…」


「君にはここで、最終戦を行なってもらおう」


「…」


「さぁ、そちらは誰が出る?」


話し合う充快たち。


「俺が行く」


風増が前に出る。


「鞍端…」


「層上にも、知介さんにも、俺個人の事情でたくさん助けてもらった。だから、最後くらいは俺が決着をつけるよ」


「うん。頼んだよ」


「任せたぞ。風増」


「どうやら決まったようだな。澄湧壮人、準備しろ」


「分かりました。でも…」


壮人は瀬山に背を向け歩いて行くと、充快たちの所で立ち止まり振り返った。


「俺は、こちら側につきます」


「!?」


「えっ、どういうこと?

だってこの人、敵じゃないの?」


「さっきのゲームであなたの野望は聞いていました。

たとえ気に入らない人間がいたとしても、その人達を消し去ることには賛同できない。

これ以上、あなたに協力することはできません」


瀬山は黙って聴いている。


「俺はあの社で、守り神と彼らの勝負を見ていました。

俺はあの時、勝負から逃げ出した。

だけど、二人は心折れかけた局面でも、最後まで勝負を捨てはしなかった。

この一連の戦いに、世界を左右する程の力がかかっているのだとしたら、俺はこの人達に、その力の行く末を任せたい」


風増が話す。


「俺達は、六繋天を回収して眠らせることが目的なんだ。

その力を使って、世界を良くしようってわけじゃない」


「それでも構わない。

ただ俺は、誰かに傷ついてほしくもないし、誰かに他人を傷つけるようなことをしてほしくもないんだ。

特に瀬山さんは、将来に悩んでいた俺を救ってくれたから」


知介が入る。


「でもよ、こいつは元々あっち側にいたんだぞ。

わざと負けて、向こうを勝たせるための罠かもしれないじゃねぇか」


「大丈夫じゃない?」


「充快…」


「なんとなくだけど、そんなつもりで入ってきたんじゃない気がする。

だってそんな汚い手を使うなら、最初から7回勝負になんてする必要ないじゃん。

こっちに仲間を送り込んで俺達に信用させてから、たった1回の勝負にわざと負けさせて、決着をつけることもできるんだからね」


「俺も信用していいかなと思う。

この人、人を騙す芝居ができる感じもしないし」


「風増…。

ああ、分かった。お前達がそこまで言うなら、俺も信用するよ」


「ありがとう」


瀬山が口を開く。


「そうか。君の考えは分かった。

それでは最後の勝負、そちらは君が、こちらは…」


そこまで言うと、瀬山はふらつき、その場に倒れ込んだ。


「!?」


「お、おい!? どうしたんだ!?」


瀬山は動かない。


「最後は私が出る」


その声の主は、倒れた瀬山の向こう側から歩いてくる。


「!?」


知介は驚きを隠せない。


「理羽!?」


「えっ、知介さん、知ってる人?」


「ああ…」


「久しぶりだね、知介君」


壮人に話す理羽。


「この人がこうなった以上、最後の相手は私が務める」


続く…


**********


「すごい展開になったね」


「まさかあいつが、俺達の味方をするなんてな。

なんとしても勝ってもらわないと」


「その相手が理羽って、一体どうなってんだ?」


次回 この世がどうなろうと

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