第10話 それでもこいつは覆す Part2

「くそ…なぜ…」


金貨は気を失った。


【ドランチャー・サブマリンド】と【ケルベクロスブリード】が充快と風増の元に向かう。


ヘリコプターの中からは、慌てた様子で男たちが出てきて、金貨を抱えると機内に戻り、あっという間に夜空へ消えていった。


「やったな…」


「ああ…」


二人は力なく、その場に倒れ込む。


「そういえば層上、あのカード…」


「ああ。【蒼穹の弩弓獅】のこと?

【蒼穹の弓獅】を見つけたトコと同じトコで見つけたんだ」


「そうか…」


「鞍端」


「ん?」


「俺、六繋天、集めるよ」


「層上…」


「今日だって二人がかりでやっとあいつを倒せた。

これからもあんな風に恐ろしいカードを使う奴が出てくるかもしれない。いや、たぶん出るよね。

このまま放っておけば必ず金貨みたいな奴の思い通りになる。

だから、少しでも力になりたいんだ」


「ありがとう、層上。

俺は必ず六繋天を集めてみせる。

鞍端家の使命だからじゃない。

この時代を生きる人たち、これからも生きていく人たちのために」


「うん」


その後、重い体を起こして、とりあえずいつも皆で集まる部屋まで行ったのはいいものの、疲れて日が昇るまで寝てしまったことは、二人の誤算だった。


**********


<廃墟>


「いや~、二人とも迷惑かけたな。

ご覧の通り、すっかり元気だ!」


「よかったよ。知介さんが元気になって」


「俺が眠り込んでる間にお前らがあの金貨を倒しちゃうんだもんなー。それに、仲も直ってるし!

めでたし! めでたし!」


「めでたし! めでたし! じゃないよ。

まだ六繋天、3枚しか集まってないんだぞ」


「そうだよ、知介さん。まだ終わったわけじゃないんだから」


「わ、分かってるって。

そうだ風増。これから【ケルベクロスブリード】ってお前が使うの?」


「いや、あのカードは危なそうだから鞍端家で厳重に管理してる。もう、あの手この手でぐるぐる巻きにしたり、地下に置いたり、すごいんだから」


「カード1枚封印するのも大変なんだな」


「大変だよ」


「残りの六繋天はどこにあるんだろう?」


「分からない。また地道に探していくしかないかな。

だけど、六繋天は引き合う運命にあると思う。

時間がかかっても、巡り合うことになる」


「だからこそ、悪意の強い人間に渡ればとんでもないことになるってことだよな」


「うん。だから、必ずみんなで六繋天を集めよう」


「おう!」


「任せとけって!」


**********


その人物は一人思う。


「(金貨翼が層上充快と鞍端風増に敗れたか。

私のターンが回ってきたようだな…)」


続く…

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