第9話 だけど7月は違った Part2(ゲーム)
層上充快&鞍端風増 vs 金貨翼
【特殊ルール】
・2vs1の勝負。プレイヤーそれぞれに累積ダメージが発生する。
・1巡目(TURN1~TURN3)はドローフェイズとバトルフェイズなし。
・2側は互いに協力してもよい。
自分にのみ効果が及ぶカードをパートナーに使用可能。
TURN1
(充快のターン)
「俺のターン。【アサルト・ライノ-ダッシュ】を召喚」
【アサルト・ライノ-ダッシュ】
固有ターン1 攻撃力600
効果なし
(突進するのが得意なサイのモンスター。走ること以外は基本的に何も考えていない)
手札
充快:5枚
風増:5枚
金貨:5枚
TURN2
(金貨のターン)
「俺のターン。来い!【
【
固有ターン1 攻撃力300
通常効果:戦闘する時、デッキの上からカードを5枚確認し、その中の攻撃カード1枚と同じ種類の攻撃状態となることができる。
(その時のこのモンスターの攻撃力は、その攻撃カードの種類の特殊攻撃力として扱う)
(人生は何事も運だと思っている騎士。剣術を磨くことよりも、開運を重視する)
「さらに、伏兵カード【
手札2枚をデッキの上に戻し…」
手札をデッキに戻す金貨。
「これで【
【
伏兵カード
発動条件:このターン中に召喚した、通常攻撃状態のモンスターがいる場合。
効果:手札2枚をデッキの上に戻すことで、そのモンスターが場にいる限り1度だけ、相手の特殊効果を無効にできる。
手札
充快:5枚
風増:5枚
金貨:2枚
TURN3
(風増のターン)
「俺のターン。来てくれ。【
【
固有ターン3 攻撃力800 打撃攻撃力1000 思念攻撃力1000
打撃効果:攻撃終了後、このモンスターと戦闘を行ったモンスターと、自分のモンスターが戦闘を行う場合、自分のモンスターの攻撃力は400上がる。(このモンスターが場にいる必要はない)
思念効果:戦闘したモンスターに対して、次の1ターン攻撃を封じる。
(赤いバイクに乗り、ハイウェイを駆け抜けるのが趣味の鬼。兄とは不仲説が流れているがそのようなことはない)
手札
充快:5枚
風増:5枚
金貨:2枚
TURN4
(充快のターン)
「俺のターン。【アサルト・ライノ-ダッシュ】を墓地へ送って、【
【
固有ターン3 攻撃力700 中距離攻撃力900 打撃攻撃力900
中距離効果:攻撃する場合、攻撃力の差が300以下なら相手モンスターに勝利する。
打撃効果:打撃攻撃状態のモンスターと戦闘する場合、その戦闘の間、このモンスターの攻撃力は1000上がる。
(全身を鎧で纏った戦士。その素顔を見た者はいないが、誰にでも誠実な態度なので、人々から厚い信頼を受けている)
風増が考察する。
「(層上はあのモンスターで攻撃するつもりか。
金貨は前の勝負で【
TURN2であいつがデッキの上に置いたカードはおそらく【中距離攻撃】。
奴は今回もあのモンスターを中距離攻撃状態にして迎撃してくるだろう。
だが、【
風増がさらに考え込む。
「(確かに【
だが、その効果を発動すれば奴は【
ならここは…)」
「バトルフェイズ!」
充快が宣言する。
「中距離攻…」
「層上! 待ってくれ!」
攻撃を制した風増を見る充快。
「俺に考えがある。ここは俺に任せてくれないか?」
「…分かった」
「ありがとう。
【打撃攻撃】発動!
【
【
「ほう。裏切り者が割って入ってきたか。
じゃあ俺は【
金貨がデッキから5枚を確認する。
「【中距離攻撃】が出た。よって俺は【
【
vs
【
「(よし! これなら奴は【
金貨が風増の方を見る。
「嬉しそうだな。
どうせお前の狙いは、俺の【
「(読まれている!)」
「伏兵カード【
俺のモンスターが攻撃状態の異なるモンスターと戦闘する場合、俺のモンスターは破壊されず、俺が受けるダメージを1000ポイントかさ増しして相手に与える!」
【
伏兵カード
発動条件:自分の場に攻撃カード以外の効果で、特殊攻撃状態になっているモンスターがいて、そのモンスターが自身の攻撃状態とは種類の異なる攻撃状態のモンスターとの戦闘で敗北する場合。
効果:その戦闘で自分のモンスターは破壊されず、本来自分が受けるダメージ+1000のダメージを代わりに相手に与える。
【
「うわぁ!」
充快の累積ダメージ1900(0+1900)
「残念だったな! 結局お前はこいつの邪魔をした挙句、ダメージを与えちまったわけだ!
さすが裏切り者!」
「くっ…」
手札
充快:5枚
風増:4枚
金貨:1枚
TURN5
(金貨のターン)
「俺のターン!
お前らにいいもん見せてやるよ。
きっと喜んでくれると思うからよ!」
金貨がモンスターデッキからカードを選び、ニヤリと笑う。
「来い!固有ターン5【ドランチャー・サブマリンド】!」
「!?」
場に【ドランチャー・サブマリンド】が召喚される。
「あ…」
「知介さんのカード…」
【ドランチャー・サブマリンド】
固有ターン5 攻撃力1700 魔法攻撃力1700
魔法効果:攻撃対象モンスターが魔法攻撃状態でなく、相手の累積ダメージが自分の累積ダメージより高ければ、戦闘の終わりまで自分と相手の累積ダメージの差を攻撃力に加算する。
(竜のような見た目をした緑色の魚人。ドラゴンの口のような左手で強力な水流を放つ)
「お前らが大好きなあのザコからぶんどったカードだ!
俺が持ってた方が有意義に使えるからもらってやったんだよ。
どうだ?再会できて嬉しいだろ?」
「ふざけんな!」
風増が怒りをあらわにした。
「お前、人のこと言えんのかよ。てめぇだって元はこいつらの六繋天を奪おうとしてたじゃねえか!」
「…」
「まぁ、いい。お前にはこいつが消えるところを拝ませてやるよ。おい層上」
金貨が充快に話しかける。
「お前には最後に、たっぷり恨みの表情を見せてもらいたいなぁ。
鞍端風増。こいつにさえ関わらなければ俺はこんな目に会わなかったのに!ってよお!」
充快は黙っている。
「やめろ…」
風増がつぶやく。
「バトルフェイズ!
【魔法攻撃】発動!
【ドランチャー・サブマリンド】の効果で攻撃力アップ!」
金貨の累積ダメージ:0
充快の累積ダメージ:1900
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600(1700+1900)
「【
「やめろー!」
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600
vs
【
【
「層上ー!」
金貨は高笑いをしている。
やがて水流は止み、充快の姿が現れた。
「まずは一人! エースを出す暇もなかったようだな!
さて裏切り者、次はお前…」
充快の累積ダメージ:5500(1900+3600)
「な、なぜだ!
なぜ敗北していない!?」
「それはお前が一番良く分かってるんじゃないか?」
充快が喋り出す。
「はぁ?」
「規約カード【
お前も前に使ってたじゃん。
これにより、全てのプレイヤーは累積ダメージが6000以上にならない限り敗北しない!」
【
規約カード
効果:このゲームにおける互いの累積ダメージの敗北値を6000に拡大する。(3000に達しても敗北とはならない)
「バカな!」
「層上!」
「いや~、危なかった、危なかった」
「何故だ?
何故こんな裏切りにあっても、お前はこいつと戦うことを選ぶ!?」
「鞍端。俺、お前のこと、もう怒ってないよ」
「え?」
「確かにお前が六繋天のために、俺に近づいたことを聴いた時は、ホントに頭にきた。
でも、鞍端は俺を傷つけるために、俺を五仕旗の世界に誘ったわけじゃない。むしろ、俺を、俺たちを、たくさんの人を守るために、一人で辛い気持ちを背負っていてくれたんだって気づいたんだ」
「…」
「俺、高校生になったら、放課後なんかは仲良い友達とご飯食べに行ったり、映画見たり、カラオケで歌ったり…
そういうことが自然にできるようになるもんだと思ってた。
だけど、実際は思うようにはいかなくて。俺、クラスのみんなとどう関わったらいいか分からないし…
4月の入学したての頃は、まだ入ったばかりだから仕方ないって思って。5月は体育祭があるから、少しは良くなるかなって思ったけど、何もなくて、6月も何もできなかった」
「…」
「でも、7月は違った。
鞍端が俺に話しかけてくれたから」
「俺はお前が六繋天を持っていることを知ったから…」
「でも! こうして出会えたじゃん!」
「!」
「あの日、鞍端が俺の元に来てくれなかったら、俺は今もずっと一人のままだったよ、きっと」
「そんなにそいつのことが好きなら一緒に地獄に落ちろよ!
二人仲良く、おてて繋いでよー!
伏兵カード【
これで【ドランチャー・サブマリンド】は、ターンをまたいでも、次の俺のターンの終わりまで攻撃力を維持できる!」
【
伏兵カード
発動条件:攻撃力の増減効果を受けていて、このターン中にその効果が切れるモンスターが場にいる場合。
効果:その効果の期間を「次の自分のターンの終わりまで」に延長する。
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600(TURN8の終わりまで)
「お前らの友情パワーで攻撃力3600のモンスターを倒せんのか? あぁ?」
「だったら」
風増が口を開く。
「だったらさ。今度みんなで行こうよ」
「?」
「ご飯でも、ゲーセンでも、カラオケでも、映画でも!
俺とお前と知介さんと…みんなで行こうよ!
今ここで、こいつを倒して!」
「うん!」
「今さら意気込んだところで遅ぇんだよ!」
手札
充快:4枚
風増:4枚
金貨:3枚
TURN6
(風増のターン)
「俺のターン!
バトル!
【打撃攻撃】発動!
【
【
vs
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600
【
「こんな自滅攻撃に、なんの意味があんだよ!
返り討ちにしろ!」
【
「ちっ! ゴミがチョロチョロと!手間をとらせやがって!」
「攻撃側の俺の場にモンスターが居ないことで、新たなモンスターを召喚。来い!【
【
固有ターン3 攻撃力700 打撃攻撃力800
打撃効果:【
(青いバイクに乗り、モータースポーツに命をかける鬼。弟と共にハイウェイを駆け抜けるのが数少ない楽しみの一つ)
「ターン終了!」
手札
充快:4枚
風増:4枚
金貨:3枚
TURN7
(充快のターン)
「俺のターン! 【蒼穹の弓獅】召喚!」
【蒼穹の弓獅】
固有ターン5 攻撃力1500 中距離攻撃力1800
中距離効果:相手モンスターに勝利して破壊した時、(相打ちは除く)自分の累積ダメージが2500以上なら、その時のダメージに攻撃力の差を追加する。
(ボーガンを携えた獅子。青い鎧をその身に纏い、厚い岩盤をも貫く矢を放つ)
「出たな六繋天!
そいつも俺のものにしてやる!」
「渡さない!
バトルフェイズ! 【中距離攻撃】!」
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力1800
vs
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600
「さらに伏兵カード【追随の型】!
相手モンスターの攻撃力が自分モンスターの攻撃力の倍以上の場合、
自分モンスターの攻撃力は、通常攻撃力の分だけ上がる!」
【追随の型】
伏兵カード
発動条件:相手のモンスターの攻撃力が自分のモンスターの攻撃力の倍以上の時。
効果:自分のモンスターの攻撃力に通常攻撃力をプラスする。相手モンスターがいなくなったら、効力は消える。
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力3300(1800+1500)
vs
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600
「話になんねぇな!【サブマリンド】!
そいつを消し去れ!
【蒼穹の弓獅】はその攻撃をかわし続ける。
「なぜ当たらない!」
「足元をよく見てみろよ!」
「!?」
場には【
「これが【
相手モンスターの攻撃から身を守る軌道を、後続のモンスターに示す。
この効果により、【蒼穹の弓獅】の攻撃力はさらに400上がっている!」
「なに!?」
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力3700(3300+400)
vs
【ドランチャー・サブマリンド】魔法攻撃力3600
「さらに【蒼穹の弓獅】の効果で、ダメージが増える!」
【蒼穹の弓獅】がボーガンを構える。
「喰らえ!」
「
【ドランチャー・サブマリンド】を矢が貫く。
「(知介さん。敵はとったよ)」
金貨の累積ダメージ:3800(0+3800)
「チクショー!」
「【追随の型】の効果。
相手モンスターが消滅したことで、俺のモンスターの攻撃力は元に戻る」
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力1800
「クソどもがよぉぉぉ!!!
調子に乗るんじゃねぇ!」
「結局お前には六繋天を使いこなすことはできないってことなんじゃないか?」
「うるせぇ!
お前らみたいな虫ケラに、この俺が二度も三度も傷を負わされるなんて、あり得ねぇんだよ!
こうなりゃとことん、思い知らせてやる!」
「(次のターンでTURN8。
あのモンスターが来るか?)」
手札
充快:3枚
風増:4枚
金貨:3枚
TURN8
(金貨のターン)
「俺のターン!俺は【ケルベクロスブリード】を…」
「やはり…」
「墓地に送る!」
「!?」
驚く充快と風増。
「【サブマリンド】を消し去ってくれたことには礼を言うぜ」
「何を言って…」
「このモンスターを召喚するためには、前のターンに固有ターン5のモンスターが破壊され、さらに固有ターン7のモンスターを墓地に送る必要があるんでなぁ!」
「召喚条件があるモンスター!?」
「来い!究極の効果を持つ最強の竜!
【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】!」
二つの首を持つ竜が現れた。
構図としては【ケルベクロスブリード】に似ているが、恐ろしさは比べものにならない。
【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】
固有ターン7 攻撃力1000 光線攻撃力2000
召喚条件:1ターン前に、自分の固有ターン5のモンスターが破壊されている場合、モンスターデッキから固有ターン7のモンスター1体を墓地へ送って召喚可能。
???効果:???
(あらゆる攻撃を吸収して封じる力と二つの首を持つ竜。
挟みこむようにして放たれる色鮮やかな攻撃を受けるとひとたまりもない)
「これは…」
「【ケルベクロスブリード】を上回る新しい固有ターン7!」
「バトル!
【光線攻撃】発動!」
「【光線攻撃】だと!?
俺はこんなカード見たことないぞ!」
「当たり前だ!
お前たち凡人などに縁はない!
選ばれた俺だけが扱えるレアカード!
【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】の光線攻撃状態を解放!」
【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】光線攻撃力2000
「今度こそ終わりにしてやる。
【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】で【蒼穹の弓獅】を攻撃!
竜の二つの首は【蒼穹の弓獅】を見下ろし、挟み込む形で、ブレスを放とうとしていた。
続く…
**********
「【分光竜-スペクトラム・ブリーダー】。
また新しいのが出てきたよ。
【ケルベクロスブリード】を倒すだけでも手一杯だったのに…」
「こっちは二人なんだ。
どんな効果を持っていようがきっと…」
次回 それでもこいつは覆す
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