第9話 だけど7月は違った

第9話 だけど7月は違った Part1

<廃墟>


知介のいない部屋で立ち尽くす二人。


「君たち」


男性が話しかけてきた。


「知介の知り合い?」


「そうですけど…」


**********


「(よくやった、金貨。

いや、お前に言わせれば当然というべきか)」


「(ああ、分かってるじゃねぇか)」


「(これで六繋天は我らの手に2枚。

今ならばおそらく…)」


その声に従い、何かをメモする金貨。


「(例の計画を決行しろ)」


「(いちいちうるせぇんだよ)」


壁に掛けてあるモニターで電話をかける。


「おい!…」


**********


<病院>


「知介さん!」


病室のベッドの上では、知介が目を閉じていた。


「そんな…」


**********


<廃墟での回想>


「あいつが倒れてたところを、通りかかった人が通報してくれたみたいで…

一命は取り留めたみたいだけど…」


**********


「なんでこんなことに…あっ!」


何かを思いつき知介のデッキケースを確認する風増。

デッキの中にはどれだけ確認しても【ドランチャー・サブマリンド】のカードはなかった。


「【ドランチャー・サブマリンド】がない!」


「えっ、それじゃあ、知介さんはあいつに?」


今度は充快が思いつき、知介の起動スターターを調べる。

そこには知介と金貨の対戦記録が残されていた。


「やっぱそうだ! 知介さんは金貨に!」


**********


病院をあとにする二人。

外はすっかり暗くなっていた。


二人とも無言のままだった。

ただ歩き続け、当たり前のようにいつもの廃墟につく。


**********


<廃墟の屋上>


「くっ!」


風増は地面を叩く。


「鞍端…ん?」


どこからか音が聞こえる。


「なんだ?」


その音がクレッシェンドすると、向かいの建物上空からヘリコプターが現れる。

それは屋上へ降り立つと中から憎き青年を吐き出した。


「ザコは群れるのが大好きだなぁ!」


「お前! よくも知介さんを!」


風増の怒りは頂点に達している。


「は? 俺が六繋天を集めてること知ってんだったら、だいたい予想つくだろ。

そうやって鈍臭どんくせぇから、お前らザコなんだよ!

っていうか、俺の狙いはお前じゃないんだよね」


金貨は充快の方を見る。


「層上充快! 今度こそお前を叩き潰してやる!」


「ああ。分かったよ!」


充快が起動スターターをオンにする。


「待て。俺も戦う」


風増が前に出る。


「(あいつは知介さんを倒して、2枚の六繋天を持っているはずだ。特殊攻撃の種類が合わないデッキを使っている奴ならまだしも、あいつは全ての種類の攻撃カードを使ってくる。

【ドランチャー・サブマリンド】を相手にしなければならない可能性は十分にある!)」


「うぜぇ。

まぁいいや、何人来ようが変わらねぇしな。

まとめて相手してやるよ!」


「五仕旗…」


「3rd Generation!」

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