第6話 六繋天
第6話 六繋天 Part1(ゲーム)
充快と金貨のゲームが始まった。
【蒼穹の弓獅】の一撃により、充快の勝利で終幕かと思われた勝負は続き、追い詰められた金貨は前代未聞の固有ターン7【ケルベクロスブリード】を召喚する。
「バトルフェイズ!
【ケルベクロスブリード】!
【ケルベクロスブリード】通常攻撃力2000
vs
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力1800
【ケルベクロスブリード】は鋭い牙を使い、あっという間に【蒼穹の弓獅】を噛み砕いてしまった。
「うわぁっ!
(なんだ? いつもより衝撃が強いような!?)」
充快の累積ダメージ:4800(2800+2000)
風増が危惧する。
「(まさか、層上は実際のダメージを?)」
「ターン終了」
手札
充快:3枚
金貨:5枚
TURN8
(充快のターン)
「お…俺のターン。
【無双剣士の師範代】召喚」
【無双剣士の師範代】
固有ターン5 攻撃力1400 中距離攻撃力1600
通常効果・中距離効果:【無双剣士の卵】を墓地に送って召喚している場合、このモンスターは3ターン後まで(次のターンを1ターン目とする)、このモンスターを従えるプレイヤーが許可した効果しか受けつけない。
(長きにわたる修行の末に、剣による攻撃でなくブーメランによる攻撃に辿り着いた最強剣士。無双剣士の卵には愛情を持って接している)
「だが、その最強剣士様も【無双剣士の卵】を糧にしていなければ、効果も発揮できない」
「くっ…ターン終了」
手札:
充快:5枚
金貨:5枚
TURN9
(金貨のターン)
「俺のターン。俺は新たなモンスターを召喚することはしない。こいつでトドメをさす!
さらにメインフェイズ。
城カード【
場に黒、青、赤、黄色の4色の模様が広がっていく。
【
城カード
効果:???
「この模様はなに?…」
「バトルフェイズ!
【ケルベクロスブリード】で攻撃!
これで終わりだ!」
【ケルベクロスブリード】通常攻撃力2000
vs
【無双剣士の師範代】通常攻撃力1400
「【
迎撃モンスターの攻撃力を800アップ!」
【
伏兵カード
発動条件:自分モンスターが迎撃する場合。
効果:その戦闘のみ、自分モンスターの攻撃力が800上がる。
【無双剣士の師範代】通常攻撃力2200(1400+800)
「ふんっ、ザコが!」
「!?」
【無双剣士の師範代】の攻撃力が下がる。
【無双剣士の師範代】通常攻撃力1400(2200-800)
「えっ!? どうして!?」
「これがこの城の効果!
俺が認めたもの以外は、お前のモンスターは攻撃力変化を受けられない!」
【
城カード
効果:自分墓地に攻撃カードが4種以上ある限り、このカードを従えるプレイヤーが選んだ相手モンスターの、効果による攻撃力変化を全て無効にする。
「だったら!
伏兵カード【導かれし
相手モンスターの攻撃を別のモンスターに移す!
お前の【ケルベクロスブリード】の攻撃を【ケルベクロスブリード】自身に返す!」
【導かれし
伏兵カード
発動条件:モンスターが攻撃された時。
効果:別のモンスターに攻撃を移す。(攻撃モンスターに返すことも可能)
【ケルベクロスブリード】の片方の首が、もう片方の首に噛み付いた。
知介が風増に問う。
「この場合の勝敗って、どうなるんだ?」
「相打ち。
攻撃してきたモンスターに攻撃を跳ね返した場合、層上は【無双剣士の師範代】とは別の、【ケルベクロスブリード】と全く同じ架空のモンスターで迎撃したことになって、その結果、勝敗判定は相打ちとなる」
「それじゃあ、【ケルベクロスブリード】だけが破壊されるってことか!」
「いちいちうぜぇんだよ! 俺をなめるな!」
金貨がそう叫ぶと、【ケルベクロスブリード】から暗いオーラが放たれた。
それは一瞬のうちに会場全体に広がり、客席まで広がると強い衝撃が起こった。
悲鳴をあげる者、逃げ惑う者。
会場は騒然となった。
「何だよこれ!?」
「これはもうゲームどころじゃねぇ!
風増! あいつらを止めに行くぞ!」
二人はステージに向かう。
「これは、あのモンスターがやったことなのか?」
充快がうろたえていると【ケルベクロスブリード】の噛まれている方の首は噛みつく首を振り払ってしまった。
「!?」
「なんで破壊されないんだ?」
「そんな
このモンスターは場にいる限り、1度のみ破壊されない!」
「なっ! 攻撃力2000もあんのに、破壊耐性まで!」
「これが最強カード
なまっちょろいザコカードとは格が違うんだよ!」
「さっきから、その
俺の【蒼穹の弓獅】とお前のモンスターとなんか関係があんのかよ?」
「大ありだよ!
こいつらこそ、この世界を牛耳り、裏から操る程の力を秘めたカードなんだからな!」
「はぁ!? お前何言ってんだよ。
【蒼穹の弓獅】もお前のカードも、五仕旗の、カードゲームのカードの1枚だろ? そんな大それた話、関係ないだろ!」
「確かにありふれたカードなら関係ない。
だが、六繋天なら話は別だ。
六繋天は、はるか昔より、人々と死闘を続けてきた悪意あるモンスターそのもの!」
「!?」
「(それじゃあ、前に鞍端から聞いた、五仕旗のモンスターが実在していたっていう話は本当なのか?)」
「層上ー!」
風増と知介が駆け寄ってくる。
「充快! すぐにここから出るぞ! これ以上は危険だ!」
「は? 何だお前ら?
地面から柵が現れ、充快と金貨を閉じ込める。
「お前!」
知介が怒鳴る。
「結益知介、これはあんたにも関係ある話なんだよ」
「あ?」
「あんたの持つ【ドランチャー・サブマリンド】」
「あっ、まさか!」
充快が何かに気づく。
「そう。お察しの通り、そのカードも六繋天の1枚」
「そんな。そんな恐ろしいカードがこの場に3枚も?」
「この世にたった6枚しかないカードが半分も揃っている。俺の1枚は別としても、仲間うちのお前らの中で2枚もそんなレアカードが揃ってるってのは、偶然にしてはよくできてるよなぁ」
少しの間の後、再び金貨が話し始めた。
「ってことはだ。
俺みたいにお前らを1か所に集めて、六繋天を手に入れようとしてる奴がいるってことだよ。
結益知介、お前はなぜこいつらとつるむようになった?
層上充快、お前はなぜ五仕旗の世界に身を投じることになった?」
「それは…」
「お前も六繋天を狙ってんだよな? 鞍端風増!」
「!? 嘘だろ、鞍端が…」
「俺たちを騙したってのか?」
風増は黙っている。
「その態度は図星ってことでいいか?
まぁ、仲間を裏切ってカードを奪おうとしましたなんて、簡単に口にできないよな!」
金貨が風増を挑発する。
「違う! 俺は!…」
しかし、それ以上の言葉はなかった。
「まぁ、いいや。お前がそこの二人からカードを奪っても、いずれは俺のものになるんだから。
【蒼穹の弓獅】は今ここで、俺の手の中に舞い込むわけだし。
俺はターン終了。
お前のターンだ。さっさと続けろよ」
「…」
充快は呆然としている。
「何してんだ! 何もしねぇなら降参ってことでいいのか?」
金貨の頭に血がのぼる。
「充快!」
「!」
知介の呼びかけで、充快は我にかえった。
「俺もさっきの今だから、なんのこっちゃ分かんねぇ。
だが今は、そいつに勝つことだけに集中しろ!
話はその後だ!」
「(知介さん…。
そうだ。今は、こいつに勝つために。
でないと、【蒼穹の弓獅】は…)」
手札:
充快:3枚
金貨:4枚
TURN10
(充快のターン)
「俺のターン! 【アサルト・ライノ-ダッシュ】!」
【アサルト・ライノ-ダッシュ】
固有ターン1 攻撃力600
効果なし
(突進するのが得意なサイのモンスター。走ること以外は基本的に何も考えていない)
「ターン終了!」
手札
充快:5枚
金貨:4枚
TURN11
(金貨のターン)
「俺のターン! そんなザコ、踏みつけてやる!
バトル!
【ケルベクロスブリード】で攻撃!」
【ケルベクロスブリード】通常攻撃力2000
vs
【ダッシュ】通常攻撃力600
「伏兵カード【
攻撃力の差が1000以上ある場合、このターン攻撃を受けない!」
【
伏兵カード
発動条件:互いのモンスターの攻撃力の差が1000以上ある場合。
効果:このターン自分モンスターは攻撃力の差が1000以上のモンスターからの攻撃を受けない。
「
伏兵カード【
【
伏兵カード
発動条件:自分の場に固有ターン7以上の通常攻撃状態のモンスターがいる場合。
効果:以降、そのモンスターは攻撃力の半分の数値でプレイヤーにも攻撃できる。
「これで【ケルベクロスブリード】は、攻撃力を半分にしてモンスターだけでなく、お前にも攻撃することができる!」
「なに!?」
「喰らえ!
【ケルベクロスブリード】の牙が充快を襲う。
「層上!」
「ぐわっ!
(痛っ! やっぱりこのゲームはいつもとは違う!
これが六繋天の力なのか…)」
吹き飛ばされる充快。
充快の累積ダメージ:5800(4800+1000)
「これで充快は、奴のターンが来る度にモンスターへの攻撃で2000、充快への攻撃で1000、
合計3000のダメージを受けることになる。
それにあいつの城カード【
ここまでなのか…」
「次で終わらせてやる。【蒼穹の弓獅】は俺のものだ」
「断る…」
「は?」
「断る!【蒼穹の弓獅】は俺のカードだ!」
手札
充快:4枚
金貨:4枚
TURN12
(充快のターン)
「俺のターン!」
ドローカードを確認する充快。
「伏兵カード【回帰
俺の墓地に3体以上のモンスターがいる場合、その内の1体をモンスターデッキに戻す。
再び息を吹き返せ!【蒼穹の弓獅】!」
【回帰精根】
伏兵カード
発動条件:自分墓地に3体以上モンスターがいる場合。
効果:墓地のモンスター1体をモンスターデッキに戻す。
【蒼穹の弓獅】がモンスターデッキに戻す。
「そしてサモンフェイズ!
戻ってこい!」
【蒼穹の弓獅】
固有ターン5 攻撃力1500 中距離攻撃力1800
中距離効果:相手モンスターに勝利して破壊した時、(相打ちは除く)自分の累積ダメージが2500以上なら、その時のダメージに攻撃力の差を追加する。
(ボーガンを携えた獅子。青い鎧をその身に纏い、厚い岩盤をも貫く矢を放つ)
「何度召喚しても無駄だ!」
「さらに【
俺の累積ダメージが2500以上の時、モンスターデッキから1枚を墓地に送ることで、【蒼穹の弓獅】にそのモンスターと同じ効果を与える!
俺は、【スナイプ・ストレンジャー】を墓地に送る!」
【スナイプ・ストレンジャー】が銃に姿を変え、【蒼穹の弓獅】がそれを構える。
【
伏兵カード
発動条件:自分の累積ダメージが2500以上の場合。
効果:モンスターデッキのモンスター1枚を墓地に送り、自分のモンスター1体はそのモンスターと同じ種類の特殊効果を持つ場合、墓地へ送ったモンスターと同じ効果を得る。
「ボーガンを捨て、銃を取るだと!?」
「バトル!
【中距離攻撃】発動!
【蒼穹の弓獅】の中距離攻撃状態を解放!」
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力1800
「そしてこの瞬間、【蒼穹の弓獅】が得た【スナイプ・ストレンジャー】の効果を使う!
手札の【中距離攻撃】カードを捨て、相手モンスターの攻撃力を500下げる!」
【スナイプ・ストレンジャー】
中距離効果:戦闘時【中距離攻撃】1枚を捨てるごとに、相手モンスターの攻撃力を500下げる。
【ケルベクロスブリード】通常攻撃力1500(2000-500)
「だが、それでも俺の累積ダメージは敗北ラインを下回る!
次のターンで…」
「だといいけどな!」
「!?」
「【
このターンがTURN11以降なら、墓地のカード1枚を手札に加えられる。俺は【上下方修正】を戻して、そのまま発動!」
【
伏兵カード
発動条件:TURN11から発動可能。
効果:墓地のカード1枚を手札に加える。
【上下方修正】
伏兵カード
発動条件:場にモンスターがいる場合。
効果:モンスター1体の攻撃力をそのモンスターの固有ターン×100ポイント、上げるか下げる。
「【上下方修正】の効果で、【ケルベクロスブリード】の固有ターンの分だけ攻撃力を下げる!」
「あいつの固有ターンは7。
固有ターンの高さを逆手に取った上手い戦術だ」
【ケルベクロスブリード】通常攻撃力800(1500-700)
「お前の城カードは、俺のモンスターの攻撃変化にしか干渉できない。お前のモンスターの攻撃力を下げれば文句はないだろ!」
「こいつ!」
「【蒼穹の弓獅】攻撃だ!
同時に【蒼穹の弓獅】本来の効果で、攻撃力の差1000ポイントがダメージに追加される!」
【蒼穹の弓獅】中距離攻撃力1800
vs
【ケルベクロスブリード】の通常攻撃力800
「
【蒼穹の弓獅】の撃った無数の弾が【ケルベクロスブリード】を蜂の巣にする。
「ぐわぁぁぁ!」
金貨の累積ダメージ:6400(3600+2800)
充快の勝利。
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