第4話 奇術の技術

第4話 奇術の技術 Part1

「この男は、五仕旗のデッキに詳しく、相手の戦術を上回るための戦術を極めていると聞いたことがある」


そう言って知介がケータイを180度回転させると、画面には日高陽ひだかようという男が映し出されていた。


「うん。この人との対戦なら楽しそう!

層上、俺が申請してもいい?」


「いいよ」


風増が操作している間に、知介が参加者リストを調べる。


「う~ん、おっ!こいつは懐かしいな」


画面を覗き込むと、リックという名の男が映し出されていた。


「なんか、胡散臭そう」


「まぁ、そう言うなって。

俺は昔、こいつと対戦したことがあんだけど、本業がマジシャンってだけあって、すごい角度からカードが飛んできたりすんだよな」


「えっ!? それって反則じゃないの?」


「そうじゃなくて、変わった戦い方をするってこと。

詳しく知りたきゃ教えてやるけど…」


「自分の目で確かめる!」


「だよな」


**********


<今はもう使われていない小劇場>


「さぁ、始めましょう!」


リックは衣装のポケットからトランプを取り出すと、そのまま胸ポケットにしまった。


「いかがです? これが私の起動スターター…」


「そう言えば知介さんって、今日は来ないの?」


充快が風増に尋ねる。


「知介さんも他の人との勝負があるらしいよ。

ほら、あの人も参加者だから」


「あー、それでか」


「人の話を聞いているのか! 君たち!」


「ん? なに?」


「これが私の起動スターターなのだ!」


「どれが?」


「これだ!」


リックが胸ポケットからトランプを取り出す。


「うん。で?」


「珍しいだろう。君たちのような子どもでは、こんなレア起動スターターは見たことないんじゃないかな?」


「別に。俺見たことあるよ」


風増が切り返す。


「わっ!」


リックが動揺する。


「なに~この人~、自慢?」


充快が呆れながら、起動スターターをオンにする。


「五仕旗…」


さっさと充快が始めようとするので、リックの調子が狂う。


「さっ…」


「3rd Generation!」

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