第10話 体育祭 午後の部
「午前中リードしてるとはいえ。青組は強敵だ。気を引き締めて、点を取りに行くぞ!」
「「おー!」」
円陣の熱量がぐんぐん上がっている。
暑苦しいが、青春を謳歌している感じが楽しい。
白組は、一致団結していて、団体競技が強かった。
玉入れなんて、拾う係、渡す係、投げ続ける係の連携が上手く行って他に大差をつけて圧勝していた。玉入れは、他の競技と違い順位点ではなく入れた数に応じて点数がきまるのでその差は必然的に大きくなる。
ただ、終了間際の今、正面の得点ボードは、体育祭を盛り上げるため目隠しされていて、総合得点はわからない。
白組は、最後のリレーで点が獲れない。それがわかっているからこそ、午前中のリードに気を緩めることなく白組全員が、最後まで、一点でも多く獲ろうと必死だった。
最後のリレーが始まる。
私は、入場門にいた。リレーはハンデがあって、非運動部女子は、男子よりかなり短い。同時にスタートするものの、スタート位置が異なるのだ。
入場時点では、離れているが、ゴール地点で他の出場者と合流する。その時に攻略対象者が見れるかも。そう思いながら、競技に挑んだ。
ずっと楽しみにしてたのに、シルビオ様への想いを自覚した今、ゲームが色褪せたものに思えてきた。
必死に走る、日頃の練習の賜物なのか、なんとかたすきをつなぐ。マリアちゃんにたすきを渡した途端、気が緩んだ私はその場にへたりこんでしまった。
「そんなところにいたら危ないぞ。」
私は、珍しく優しい目をしたシルビオ様に抱き上げられた。シルビオ様の胸の中にいる安心感と心地よい疲労感から、熟睡してしまった。気がついたら家のベッドにいた。
楽しみにしていたはずの攻略対象者達のリレーは見れなかったが、あまり落胆していない自分にびっくりだ。
白組は見事初優勝を果たした。学園開校以来の快挙だったらしい。
体育祭は、心に残るイベントとなった。
「赤組は文化祭でがんばればいいので、体育祭は大丈夫ですわ。それより、皆様、日焼け止めと日傘を忘れてはいけませんよ。」
「…。」
ヒロインは無だった。
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