第6話 クラス分け



 ようやくお荷物状態から解放された私は、シルビオ様にクラスに連行されてる。


 いや、端から見ればお優しいシルビオ様が、パッとしない婚約者を優しくエスコートしているように見えることだろう。ちらほら素敵…といいながら、頬を染める女子学生が見える。




 でも、気にしない。


 なぜなら、これからクラスルームのイベントがあるから。ラッキーな事にシルビオ様と同じクラス。



 ということは、ヒロインと同じクラスなはず。


しかも担任は隠れキャラだ。シルビオ様の次に推していた大人の色気駄々漏れキャラだ。


 声がまた、いいんだ。


普段は眼鏡の真面目そうな優しげな先生なんだけど、ルートが、解放された後の眼鏡を外すスチル。


 ごちそうさまでした。



 それに他のキャラ達もいる筈。


 ヒロインが繰り広げる胸キュンラブストーリーを間近で見られるチャンス。


 逃してなるものか。




 この学園は行事もすべて縦割りだ。


だからこそ、ヒロインのクラスは上の学年の生徒会のメンバー達とも交流が可能なのだ。


 これでイベント見放題確定だ。




 胸を踊らせて教室に入る。



 しかし、クラスにヒロインはいなかった。あのド派手なピンクの頭。遠くからでもすぐにわかる筈なのに…。


 そして、他の攻略対象者もいない。


周りは落ち着く色合いの平凡な顔をした名もなきモブ達だった。因みに担任はどこにでもいるような普通のおばちゃんだ。


 イベント見放題、授業風景見放題の私の夢はその瞬間ガラガラと音を立てて崩れ去ったのだった。



 萌えは砕け散ったものの。学園生活は順調だ。


教室内で一人華やかなシルビオ様は、初めは浮きまくっていたが、意外に馴染んできている。



 今も、クラスのモブ男子達と庶民の駄菓子など嗜んでいる。うまそうだな。





「悪役令嬢はいるのに攻略対象者がいない。担任も生徒も女性のみってどういうことー?」



「あら、赤組は女子クラスよ。共学クラスが良ければ白組に行かないと。」



「なんで、ゲームの設定と違うの?」


ヒロインは、もはや叫ぶ気力もなくなった。



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