第2話 もしや、バレてます?
婚約者としての最初の訪問の時、いつもながらに貴公子然として麗しいシルビオ様に感動しながらも、私は震えが止まらなかった。
前世の私なら、きっと幼いシルビオ様をスクショしまくっていたところだろう。
「緊張してるね。良かったら二人きりで私の部屋で話そう」
シルビオ様は優しげに微笑んで私を彼の私室に連れ込んだ。
まだ、幼いシルビオ様が婚約者の私を気遣う様子に侯爵家の使用人達はほっこりしていたが。肝心の私は恐怖で震える。二人きりは嫌だ。
部屋で二人きりになったとたんシルビオ様は豹変した。さっきまでの貴公子然とした育ちの良さをかなぐり捨てソファーにドサッと座った。ソファーの横を乱暴に手で指し示し私を横に座らせると。がっと肩を引き寄せる。
「マーガレット、君は俺の正体に気付いてるよね?」
なんのことでしょう?
本当は魔王の魂が入り込んでることでしょうか?
いいえ、私はそんな事は知りませんとも。
ヒロインちゃんが現れて、救われるまでそのコンプレックスはずっともっていよう!
物語のネタバレはいかんですよ。
「私は、なにもしりませんわ。」
えぇ、私はただのモブに過ぎないので。可及的速やかに婚約破棄してください。
「何も、知らないねぇ。そっかー。
嘘付いたら頭からバリバリ喰らうぞ。」
獰猛な肉食獣の様に凄まれて洗いざらい全てを白状させられてしまいました。
ゲームの事も、前世の事も。
それ以来、前世の食べ物に興味をもったシルビオ様に、前世の食べ物に似たものを見つけてはこうして献上している毎日。
意趣返しに用意したグロテスクなスルメの足を何故か気に入ってまさか何度もリクエストされるなんて思わなかったけど…。
ヒロインちゃん登場まであと三年。
はやく、私を救ってください。地味なモブには攻略対象は重すぎます。
そして、私がシルビオ様を諦められるうちに。はやく、この恋心から救ってください。
ワイルドなシルビオ様も素敵すぎて困るのです…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます