エピローグ 私と私の一番星について
ある日の、朝一番のことだった。
「いのりちゃん。お見舞いの○○○さんがいらっしゃってるんだけど、通していいかしら」
「――――」
「いのりちゃん? 大丈夫、お断りした方がよければそうするけど」
「い、いえ。通してあげてください」
何を言えばいいのか、少しだけ迷って。
数日前に、彼に伝えたことを思い出した。
遠くから聞こえてきた足音が次第に大きくなり、カーテン越しに私のベッドの前で止まる。
そして、しばらくそのまま。
やがて、遠慮がちにカーテンが開かれる。
「……いのり、久しぶり」
「うん。久しぶりだね、星空。ずっと待ってたよ」
そこに立っている親友は、以前と変わらない美しさで。
「ごめんなさい。私、いのりに会うのが怖かったの。私が――――私だけが幸せで、いのりは」
けれどその表情には、以前と違う翳りがあって。
「あのね、星空。聞いてくれる?」
だから、彼女の言葉を遮って、彼女に伝える。
「……うん。なんでも言って。どんなことでも、ちゃんと聞くから」
「そっか。じゃあ、覚悟してね。行くよ?」
ずっと伝えたかった言葉を、とびっきりの笑顔と共に。
「私、星空のこと大好き。今までもこれからも、ずっと大好き」
尊敬する親友は、私の大好きな笑顔を浮かべた。
万年二番星の俺だけど、一番星のあの娘を振り向かせる! 白兎銀雪 @hakuto_ginnsetu
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