第6話
「はぁっ?!保健医にしーちゃんが実際の年齢が16才じゃないってバレたっ?!」
「あぁ、あの変態すごいぞ……。俺をひと目見た途端、何か骨格が違う?とかナントカ言いながら鼻息荒く『合法ショタ最高!』って叫びだした……」
「えっ?!怖っ!!事案?!」
「しかも今朝も中庭で花に水やってたら、ナニをフルボッキさせて俺を襲おうとしてきたぞ?
久しぶりに初対面のお前が俺を見ながらナニをフルボッキさせて血まみれで話しかけてきたの思い出した……」
コーヒーを飲みしーちゃんの視線から逃れるように身体を横に向けるキヨ。
暫く2人の間に気まずい沈黙が振り落ちる。
「大丈夫だったの?襲われたのは?」
「あぁ……、ナニを思い切り蹴り上げて、生け垣にぶっ刺して置いた。変態も木の養分になればエコだろ?」
「どこがどうエコなのかわからないけど、無事で良かったよ……」
しーちゃんの唇にチョコレートをツンツンあてながらキヨが口を尖らせながら表情を曇らせる。
しーちゃんはじっとキヨの表情を視線に捉えつつそのチョコレートをぱくりと口に含むともぐもぐ咀嚼し飲み込む。
至極愉しげに片眉あげ口の端を引き上げながら口を開く。
「はっ!保健医に嫉妬したか?」
「違うけど……、心配……。年齢バレたのがその保健医って一番不味いなぁと。あいつ理事長の息子……」
「コネだからあんな変態でもこの学園に勤められているのか……」
「そうじゃないよっ!もし、そいつとしーちゃんに何かあったら揉み消される?かもしれないし?それに……」
キヨがしーちゃんの腰に腕を回し、肩に頭をコテンと預けながらゴソゴソと片手を動かす。
「仕事はちゃんとやり切るよ……。俺も何がなんでも高校卒業資格が欲しいしな……」
しーちゃんがキヨの動かされている手を掴みながら持ち上げる。
「んで?この手は何でブレザーのボタン外してるんだ?」
「えー?ブレザーがシワになったらダメでしょう?」
「今からシワになることしないんだけどな?」
掴まれていないもう片方の手でキヨがしーちゃんの頬に手を伸ばし、頬をスルリと撫でる。
キヨはそのまま顔を近付けてしーちゃんの頬に軽くちゅっと唇を落とす。
「だって……、さっきキスしてた……。しかも『初めて』って……」
拗ねたような声で、しーちゃんの耳元に吹き込むように小さく囁くキヨ。
「はぁ……、『詩音』が『初めて』キスされただけだぞ……」
呆れた顔で掴んだ手を降ろし、キヨの頭を撫でるしーちゃん。
「じゃあ……、しぐれサン。俺と何時ものキスしませんか?」
再びしーちゃんの耳に唇を触れさせながら甘えるように掠れた声で尋ねるキヨ。
鼻から息を洩らすように小さく嗤ったしーちゃん。
そのままキヨの膝に乗り上げ、首に腕を回しながら甘くドロリドロリと溶けだすような熱を孕んだ瞳をじっと見上げる。
「いい――」
腰を強く抱き寄せられ、再びしーちゃんの返事は最後まで口にされることはなくキヨの熱い唇に飲み込まれていった。
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