第5話
「これ、マジ美味いな……」
「はい、あーん。しーちゃん?これも美味しいよ?」
ソファーにぴったり寄り添うように隣同士に腰掛け、コーヒー片手にキヨが事務のお兄さんに頂いた、巷で噂のショコラティエのお店で販売されている期間限定チョコレートを食べる2人。
「なぁ……、あのチン毛が今あいつ等が探してる『緋鬼』ってことで間違いなさそうだぞ……。この俺が抜け出そうとしたけど、手加減してたとは云え抑え込まれたからな……。それにあの髪の毛やメガネは明らかに変装だしなぁ。
しかもあいつ、相当遊んでるぞ?迷い無く舌入れてきたし、手口が慣れ過ぎだろ?
ははっ!!あいつのケツの穴たぶんガバガバだぞっ!」
詩音が眉間にシワを寄せ思い出しながらマグカップを両手に持ち口元にあてながら話す。話終わると同時にマグカップに口をつけコーヒーを飲む。
「初代『緋鬼』のしーちゃんの見立てなら確かだね……。
はぁ、これまた面倒臭いことになりそうな予感……」
ため息を吐きながら遠い目をしつつ、疲れた表情でコーヒーを飲むキヨ。
「初代って何だよ?俺は歌舞伎役者みたいに『緋鬼』を襲名制度にした覚えないけどな……」
「初代は初代だよっ!区別したいのしーちゃんとチン毛を!!
しーちゃんがした事もその今しがたあいつ等が探している『緋鬼』がやった手柄みたいに思われるのが俺は嫌なのっ!!
俺が惚れ込んだ『緋鬼』は返り血で服が紅く染まり、月明かりに煌めかせた銀糸を揺らしながら華麗に舞うように敵を屠る美しい天使!
そして最後にお伝えしたいのは笑顔が神懸り的に可愛い!!つまり初代が最高って事!!」
頬を赤らめながら鼻息荒く興奮した様子でしーちゃんに捲し立てる様にずずいっと詰め寄るキヨ。
「はっ!昔の事だろ?暗黒魔王さんと言われた『クロ』?」
片眉上げながら鼻でわらい、揶揄するように話すしーちゃん。
「お互いに若かったね……。あかおにさん?」
お返しとばかりに口の端を引き上げながら、瞳を煌めかせてしーちゃんに声を掛けるキヨ。
ため息吐き、眉間にシワを寄せ頬を赤らめキヨから視線を逸らせたしーちゃん。
「はぁ……、黒歴史ってやつだな……。あぁ、その2代目の『クロ』はいるのか?」
「知らないよ……。しーちゃんがあいつ等に直接聞いて見れば?」
眉間にシワを何本も寄せじとっとしーちゃんがキヨを睨みつける。
キヨはそれをニヤリと笑顔で受け流し、ご機嫌にチョコレートをしーちゃんに見せつけるようにゆっくりと口に含む。
「それこそ何で知っているのか?って疑われて面倒臭いことになるじゃねーかよ。
この前なんて副風紀委員長のエセ関西弁にいきなり殴り掛かられたんだからな……」
「んぐっ!それ初耳なんだけどっ?!」
「ん。お前が面倒臭いから黙っていたからな……」
「ちょっと!しーちゃん他にも俺に言っていないことありそうっ!!」
キヨがしーちゃんの両肩を掴み、思い切り前後に揺さぶる。
観念したというか、このまま黙っていたら絶対に面倒臭いことをされそうという確信があるしーちゃんは洗いざらい白状することを決めた。
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