4、場所と順番
「あんたたちがそう?」
おしゃぶりちゃんが言うと、おれたちはばらばらに首を縦に振った。
「すっごい雨!」
おしゃぶりちゃんは自転車を建物に立てかけると、あっと声をあげた。
「ないじゃん!」
「え!」
「ここにトイレあったのに!」
おれたちはわけがわからないまま建物の周りを確かめるおしゃぶりちゃんを見ていた。彼女が現れたからといって雨風は少しも弱まらなかった。
どうやら、数日前までこの場所に仮設トイレが置いてあったらしい。建築現場なんかでよく見かけるやつだ。おれは、ここに来る途中に何かを解体して更地にしたようなところがあったのを思い出した。もしかしたら、その工事のために一時的に置かれていたものかもしれない。それは定かではないが、おれとしては仮設トイレでやるつもりだったのかと驚くというか不安に近い気持ちになった。村上とスネ夫も軽く動揺したような顔をしていた。
「どうする?」
どうするもこうするも、台風の中をここまで来てやらない手はなかった。誰もが早くはじめたいと思っていたが、具体的にどうするかはアイデアがなかった。スネ夫が別の公衆トイレを提案したが、それは城の反対側にあってここからは遠く、更にすぐ脇にお城を含めたこの一帯の管理事務所みたいなものがあるため誰かに見つかるリスクが高かった。もしバレたら、おれたちは全員停学とか何かそういう仕打ちを受けることになるだろう。
「外でいい?」
それがおしゃぶりちゃんの提案だった。彼女にしてもこのまま実入りなしに帰るわけにはいかないのだろう。おれたちはいいよなと顔を見合わせ、またばらばらと頷いた。最悪の状況なのかもしれなかったが、誰一人おかしいとは思わなかった。
「お金、先にちょーだい」
おれたちは決められた金額をおとなしく払った。おしゃぶりちゃんは千円札が雨に濡れるのもまるで気にしなかった。おれはなぜか、自分が今ものすごく悪いことをしてるような気がして興奮さえした。
間近で改めてよく見てみると、おしゃぶりちゃんはぷるぷるした半開きの唇が雨に濡れて、とんでもなくえろいことになっていた。彼女が何を喋ってもふぇらふぇらふぇらふぇらふぇら……としか聞こえなくなってしまうほどだった。おれはあそこをフル勃起させ、先っぽがパンツの内側にこすれただけで体がびくついた。もう、ふっと息を吹きかけられただけでイッてしまうのではないかと思った。
「誰からにする?」
おしゃぶりちゃんが折りたたんだ札を合羽の下のスカートのポケットにしまいながら言うと、おれたちはまた顔を見合わせた。三人ともすぐにじゃんけんで決めることに同意した。こんなに真剣にじゃんけんをしたのは、小学生のときに給食のあまりの揚げパンを巡って以来のことだった。おれは主に衛生面から一番最初がいいと思っていたが、どんな風にするものなのか確かめてからの方が安心できるからあとの方がいいという思いも強くなりつつあった。
じっけんぽっ! あいこっしょ! しょっ! しょっ! しょ! うらぁー! だぁぁぁぁー! じっけんぽっ! っしゃぁ! がぁぁぁぁー!
公正な勝負の結果、スネ夫、村上、おれの順番に決まった。スネ夫と村上のぽこちんをくわえたあとにおれだった。
「お前らは指でもくわえて待ってろ」
何でも優位に立ちたがるスネ夫がムカつく台詞を吐いたが、とっさには返す言葉を思いつかなかった。何か変な菌がつかないことを願うだけだった。
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