第五十話 回転
「よし、それでは次に行こう」
さすがに血まみれシャツのままではまずいので、真くんには新しい着替えを用意してあげた。
それと、迷路の再調査のために研究員を何人か呼んできた。
それらが終わって、やっと次に行ける。
「004! これは、太一くんが喜ぶやつだよ!」
「え! なになに!?」
「通称「回転率のいい回転寿司」!」
「寿司!?」
ふふ、喜んでくれて嬉しいよ。
実は、君が食べ物関連のものを見たいと言い出すのは予想済みだったからね。
「それがこちら!」
部屋の中には、普通のテーブルが置かれている。
そして、その上にはクロッシュが。
クロッシュじゃわからないか。
料理の上に被せられている銀色の蓋みたいなやつだよ。
「ここに入っているのは……じゃーーん!!」
「うおお……お?」
クロッシュを取ると現れたのは、超高速で回転しているお皿だ。
しかも、お皿の真ん中にはお寿司が乗っている。
あまりの回転の速さにネタがなにかは判別がつかない。
たぶん赤っぽいのでマグロだ。
「すごく回っていますわね」
「うん。だから言ったじゃないか、回転率がいいって」
「そっち!? お客さんの出入りがいいって意味じゃねーのかよ!」
「いやいや、こんな秘密機関にお客さんなんて来るわけないじゃん」
「そうですけど!!」
みんなからの怒涛のツッコミが面白い。
「それで、最大の問題はね。あまりに高速で回転しているから、食べられ……」
「おいしーーい!!」
「え!?」
見ると、太一くんは左手でお皿を掴んでいる。
もちろん掴まれているので、回転も停止している。
てか、おいしいってことはもう食べたんだね!?
「まてまて、違う、そうじゃない。それは人間の力じゃ止められないほどの高速回転をしていてロボットアームを使いでもしない限り止まらないと実験では……!!!」
「でも、止まってますよ」
「あうあう~~」
「オーくんはサーモンか。うまそうでいいな」
「なぜ!?!? いや、この二人が馬鹿力なのは認めるとして、なぜ寿司が食えるんだい!?」
「もぐもぐ……どうしてもなにも……うまいな……回転寿司って……しょうゆないのかな……こんなもんだろ……?」
「違う! 実験では、お皿を止めたらお寿司が消えてたんだ!!」
だからまさか食べられるなんて……!
「もしかして、人間が止めた場合はお寿司は消えないとかじゃないんですの?」
「そう……だな。メモしておこう」
さすがにこれ以上ツッコむのは疲れた。
今回は新たな発見があったと、ポジティブに捉えよう。
まったく、人間が止めるなんて想定の範囲外だったぜ。
それで……だよ。
「えーと……これはあくまで冗談だったんだ」
「冗談?」
「このお寿司は食べられないから、あらかじめ注文していたお寿司をみんなで食べようと思っててさ……」
チラリとみんなの顔色を伺う。
「僕達も!」
「食べられるんですの!?」
「寿司パーティーだな!!」
今日一でグイグイ来るな!?
やっぱり寿司はいいよね!
「それじゃあ、みんな一旦食堂に戻ろうか!」
「「「「「やったーーーー!!!」」」」」
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