再会

ぼくは、外事学校を卒業して、花旗国にわたり、法律事務所ではないが事務職で働き、夜の学校にかよって法律を学ぶ生活をはじめた。


王女は、白亜国の大学院で学者をめざす修業をしていた。そして、その学問にかかわる用事で、花旗国をたずねてきた。


呼びだされて行くと、王女は、本国のことばでも花旗国のことばでもなく、鷲国のことばで話しかけてきた。それが他人にききとられにくくするためのくふうであることは推測できた。ぼくも外事学校でその言語の初級の授業を受けてはいる。しかし初級だけだから、あまりうまく話せない。本国のことばの単語をまじえて、なんとか話をつづけられる。


しばらく王女の近況をきいたあと、ぼくは「いまもわたしの助けを必要としていますか?」とたずねた。そうしたら、この町の博物館の収蔵庫にある、百年ほどまえに本国のものごとについて鷲国のことばで書かれた文書を読むのをてつだってほしい、と言われた。それはうそではなかった。しかし、収蔵庫でないしょ話をしようという計画もあるにちがいなかった。

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