解け始めた魔法
次の日の朝早く。
スタンとハリーは例のお城の前にいました。
よく見ると昨日は硬く凍っていた氷の扉が、ほんの少しだけ溶け始めていたのです。
「もしかしたら、あと数日もすれば扉が開けられるかもしれない。焦らずその時を待とう。」
スタンがそう言うと、ハリーは静かにうなずきました。
「おはようお二人さん。よく眠れたかい?」
二人が声のする方を振り向くと、そこには狼がいました。
「おかげさんでな。ところであんたはどこにいたんだ?」
スタンが聞きました。すると狼は答えました。
「私は門番をするのが役目でね。あの後元の見張り場に戻ったのさ。」
よく見ると、狼は昨日会った時よりもひと回り大きくなっている気がしました。そこでハリーがこんな事を聞きました。
「他にも仲間はいるの?」
すると狼は答えます。
「普段は私一人だが、いざという時にはたくさんの仲間たちが集まってくるよ。」
それを聞くと、ハリーは「そうか」と言って口を閉じました。
そして、スタンは昨日から疑問に思っていたお城の事について聞きました。
「私からは何も言えないが、時が来れば全てがわかるさ。」
と狼は言った後、元の場所へと戻っていきました。
朝もだいぶ明るくなってくると、子供たちが次々と起きてきて、朝ご飯の支度を始めます。小さな子供たちはお兄さんお姉さんに教わりながらベッドを整えるのです。
しばらくすると、朝ご飯の支度が出来上がったので、子供たちは席についてクリスタが来るのを待っていました。しかし、いつもの時間に来るはずの彼女がなかなか姿を表しません。
次第に子供たちは不安な気持ちになっていきます。そこでハリーが彼女の部屋へ様子を見に行くことにしました。スタンは不安がる子供たちを気づかって、冷めないうちにみんなで先に食べようと提案をしました。
ハリーはそのやり取りを見届けながら、彼女の部屋へと向かうのでした。
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