クリスタの城

お城の入り口はとても大きな扉で固く閉ざされていました。すると、扉に向かって狼が言いました。


「クリスタ、私だ。開けておくれ。」


次の瞬間、鈍い音をたてながら、その大きな扉はゆっくりと開きました。そして三人はお城の中へと入って行きました。

中は明るく、外から差し込む光が辺りを照らしていました。扉の向こうは大きなエントランスになっていて、氷でできた動物達が出迎えてくれました。そこを少し進んでいくと大きな階段があり、踊り場から左右に階段が分かれているのでした。狼は迷うことなく踊り場から右の階段を上がり、左へ曲がると真っ直ぐ奥の方へ進んでいきました。長い廊下の左側には手すりがあり、下を見下ろすと大きな食堂が見えました。右側には客室のような扉がいくつもあり、それを見ていたハリーとスタンに狼は言いました。

「ここは元々外の国から来てくれるお客様が泊まるお部屋だったんだよ。」

そう言いながら奥の突き当たりに来ると、突き当たりにある扉に向かって狼が言いました。

「ポール、私だ。開けておくれ。」

すると、扉が開いて、奥から大きなクマが出迎えてくれました。彼は何も言わず、ただ先に行けと合図をするのでした。ハリーは彼の前を通る時、ぺこっとお辞儀をしました。すると彼はちょっと微笑んで、また元の顔に戻ると、静かに扉を閉めて、ただ真っ直ぐ前を見て立っているのでした。

ハリーは彼のことが気になって狼に聞きました。

「彼は言葉が話せないの?」

すると、狼は答えました。

「この場所では口は災いのもとだからね。あえて言葉を慎んでいるんだ。だが、彼は心の優しい良いヤツなんだよ。」

なんとなく、ハリーはこれ以上彼のことを質問するのはやめようと思いました。そっとしといてあげようと思ったのです。

またしばらく廊下を歩いていくと、目の前に階段が現れました。しかしその階段は狭く、上を覗き込んでも暗くてよく見えません。

「足もとに気をつけてね。」

狼はそう言うと、ゆっくりと階段を上がっていきました。ハリーとスタンもその後ろについて上がっていきました。階段を登りきると、短い廊下を進み、目の前にはまた扉がありました。そこでまた狼は言いました。

「クリスタ、私だ。開けておくれ。」

すると、扉がゆっくりと開いて、扉の向こうから眩しいほどの光が差し込みました。

少し目が慣れてくると、奥の方に人影があるのに気がつきました。狼とハリー達は、ゆっくりとその部屋の中に入っていきました。

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