クリスタルマウンテン
どれだけの時間が経ったのでしょう。
ノースフロンティアから北へ進んでいくうちに、辺りはだんだん暗くなって、また夜が近づいてきました。二人は近くにあった小さな穴を見つけたので、ひとまずここで休むことにしました。
しばらくすると、辺りは静まり返り、月の光は雪と氷に当たってほんのり明るく辺りを照らすのでした。
そのなんとも幻想的な風景を眺めながら、スタンが口を開きました。
「良い夜だな。みんなに見せてやりたいもんだ。」
するとハリーは小さな声で言いました。
「僕、またみんなに会えるかな?」
その言葉にスタンは返しました。
「なんだかちょっと弱気じゃないか。なに、心配すんなって。あの山のてっぺんで待ってる子供達を迎えに行ったら、俺たちも一緒に帰ろう。」
そう言いながらスタンはハリーの肩を優しく叩きました。
ハリーはスタンの顔を見て言いました。
「みんな、いつか大人になっても、僕のこと、覚えててくれるかな?」
すると、スタンは言いました。
「それは大人になってみねぇとわからないものかもしれねぇが、少なくともあの子達は覚えててくれてんじゃねぇかな。」
そう言われてハリーは、
「うん。もう一度、会いたい。」
と言いました。
次の朝、二人は早い内から身支度を整えて、クリスタルマウンテンに向けて出発しました。下から見上げる山の高さはとても高く、太陽の光に照らされて輝いていました。
「あんなに綺麗な山なのにな…。」
ハリーがつぶやくと、スタンは言いました。
「綺麗だから、大人達は欲しいと思ったんじゃねぇかな。」
ハリーは「…そっか。」とつぶやくと、また黙々と歩いていきました。
しばらく歩いていくと、山はどんどん大きくなり、平らだった道も段々坂道になり始めました。またしばらく進んでいくと、段々坂道が急になってきて、これ以上まっすぐ進むことができなくなってきました。
すると、目の前にくねくねと曲がった道が現れました。これなら登れそうです。二人はどんどんジグザグと歩き続け、いつしか山のてっぺん近くまでたどり着きました。
そこからはまっすぐな道が続いていて、よく見ると、お城の入り口のような大きな門が見えました。
二人はまっすぐ進んでいくと、そのままお城の門の向こうへと入っていきました。
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