それからしばらくして二人はいつの間にか、また眠りについていました。その顔はとても穏やかで、優しさに包まれた時の、とても心が温まっているような、そんな感じがしました。雪あかりがそんな二人の顔を優しく照らすのでした。

いくらか時間が過ぎて、曇り空の向こうで太陽が目を覚ます頃、チョウは一人起き上がると、弱くなってしまった焚き火に木の枝や丸太のかけらを足してまた強い火を作り、少しだけ持ってきたお酒を飲みながら、二人が起きるのを待っているのでした。

少しして二人が目を覚ますと、チョウは村から持ってきた肉の燻製を二人に分けてあげました。そして二人にこう言いました。

「食べて少ししたら出かけよう。ここからしばらくまた歩くと、いよいよノースフロンティアの入り口だ。」

そう言うと、チョウはまた一口お酒を飲みました。

すると、どんよりとした曇り空の隙間から、白い雪がゆっくりと降り始めました。それはまるで、三人に何かを語りかけるような、そんな気がするのでした。

二人はもらった肉を食べ終えると、身支度を済ませました。いよいよ出発です。チョウは焚き火に雪をかけて火を消しました。

三人がまた北へ向かい歩き始めると、それまで穏やかだった雪は次第に強く降り始め、三人が歩いてきた道をそっと隠していくのでした。目の前はいよいよ真っ白になってしまいましたが、チョウは迷う事なくただただ真っ直ぐに歩き続けるのでした。二人はそんな彼の背中を頼りに、歩いて行きました。

どれくらい歩いたのでしょう。

三人がふと前を見ると、何やら真っ白くて大きな壁のようなものが少しずつ近づいてくるのが見えました。

そう、それはノースフロンティアの入り口、通称"サウスゲート"なのです。

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