命の対話

その夜、三人はシカバネロードから何キロか北へ向かい歩いていくと、道からほんの少し外れた川岸にキャンプをはり、そこで一夜を過ごす事にしました。幸いその夜は月夜で、雪が月の光を浴びてほんのり辺りを照らしてくれたのでした。三人は手分けをして木の枝などを探してくると、チョウが火をつけてくれました。そして村の人達からもらった少しばかりの食糧を食べた後、しばらくは焚き火の炎を見ながら色々な話をしたのでした。

そうしていつの間にか夜は更けて、それぞれ寝床につくのでした。


どれだけの時間が経ったでしょう。

ハリーはふと物音に気がついて起き上がると、そこには一人何か考え事をしているスタンがいました。ハリーが「どうしたの?」と聞くと、彼は答えました。

「人ってひでえ生き物だよな。何の罪もない人達を傷つけて、それで何かに勝ったつもりでいるなんてさ。それに比べてチョウの仲間達やハグルマビーチの人達は良い人達だった。同じ人なのに、何でこんなに違ってしまうのか。なんだかよくわからねぇな。」

そう言って彼は一つため息をつきました。

ハリーはそんな彼を見てこう言いました。

「僕もそんな風に思ったことあったけど、僕は大好きな人が笑顔でいてくれたらそれでいい。」

そう言ってハリーは彼の顔をじっと見つめました。

彼はそんなハリーを見て、

「それが、もしかしたら愛ってやつなのかもしれないな。」

と言いました。

するとハリーは、

「よくわからないや。」

と言って静かに笑いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る