山賊のチョウ

それからどれだけの時間が経ったのか。二人はハグルマビーチからずいぶん北の方にやって来ました。雪と氷に包まれた何もない一本道をただただまっすぐ北へと歩き続けた二人でしたが、さすがにお腹が空いてきました。よく見ると遥か向こうの方に一筋の白い煙が見えました。もしかしたら食べ物があるかもしれないと思った二人は、まっすぐに煙が上がっている方へ向かって歩いていきました。


やっとのことでたどり着いた二人が見たのは、なんと顔中ヒゲだらけの小太りの男達が豚を丸ごと焼いている光景でした。


「ずいぶんおかしなヤツが来たな。どっから来やがった?」

男の一人が問いかけました。

すると、

「オレはスタン。こっちはハリー。オレ達は東の果てにあるハグルマビーチから来た。」

と答えました。

更に彼は話を続けます。

「オレ達は長いこと飲まず食わずでここまで来た。あんたらの食いもんを少し分けてはくれないだろうか。」

すると、男は答えました。

「お前達は体力がありそうだ。飯は少し分けてやる。その代わり、俺達の手伝いをしてもらいたい。」

そう言われた彼はハリーにどうするか聞きました。すると、ハリーは「僕はかまわないよ」と首を縦にふりました。

「話は決まったな。ちょうど人手がほしいと思ってたんだ。よろしく頼むよ。」

男はそう言うと、二人の前に食べ物と温かい飲み物を用意してくれました。二人はとてもお腹が空いていたので、男にありがとうを言うと、あっという間に平らげてしまうのでした。男は笑いながら二人を見るとこう言いました。

「良い食いっぷりじゃねぇか。気に入った!俺は山賊のチョウ。よろしくな。」

その日から二人は山賊のチョウの手伝いを始めることになったのでした。

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