第7話 どうやら俺と星崎さんは本当に相性が良いらしい


「──あ、そうだ。クラスで私のことを誘ってくれてありがとうね」

「え?」


 今にも本題に入ろうとした俺。だが唐突な星崎さんの言葉にタイミングを見誤ってしまう。


「当然なんの接点も無いと思われてた私とあなたが“付き合い始める”なんてあまりにも不可解で周りの人達から変な誤解をされるものね。いい話の理由になったわ。

──それとね、意外と漢気があってカッコよかったわよ」

「あー、うん。そっか。

 お気に召して頂けたのなら結構ですね」


 俺のキチガイ行動が、星崎さんにとっての利点になってくれるのならば結果オーライだと思えるけど……ハッキリ言って黒歴史だし、星崎さんの言葉を聞く感じ 俺の答えがOKだということに絶対の自信を持っていることがひしひしと感じた。


 ──ふぅ、よし!


「さてと、話の本題に入ろうか?」

「そうね。あまり長く話してると周りのモブたちに見つかるものね」

「あ……へぇー」

「何よ?」

「星崎さんも意外に口悪系?なんだね」


 毎日のように話す陽キャたちをモブ扱いって……流石に驚いてしまう&ドンマイ陽キャども!ウェイ!


「まぁ、好きで関わってる訳じゃないもの。友達付き合いの一環ってやつなのかしら?そういう人たちに元から恋愛感情は到底湧かないし、私はあーいう感じのは苦手な方なのよ」

「それはそれは奇遇だね。俺もあーいうおちゃらけて調子に乗っていて、自己中心的な奴は嫌いだ」


「ふふ、苦手と嫌いじゃ大きな違いよ」

「いーやどっちもイコールで大して変わらないさ」


 まぁ、つまり。何処と無く性格が似ているということだ。




「はいはい、また脱線してる。早く私に答えを伝えてくれるかしら?」


 脱線を促したのは星崎さん自身じゃん!っとツッコミを入れたいが、『脱線コース無限編スタート』という文字がふと頭に浮かんだので止めておく。


「おっとっと。そうだったね。ごめんごめん。星崎さんと話すとついつい夢中になっちゃってさ」

「あら、また奇遇ね」


 あ、今度は俺から脱線させちゃった……w




 そんなこんなで、本題に入る1歩手前の部分でそれぞれつい言葉が混じる。それが数回続いた後、ようやく本題に入る俺と星崎さんであった。


 どうやら俺と星崎さんは本当に相性が良いらしい。


 ☆☆☆


 所狭しと並べられた多くの資料たち。そのため意外に狭い旧校舎 資料室。


 そこには茶髪のショートコントの美少女と、黒髪のどこからどう見てもモブな一般男子。

 滅多に見ない美少女と外に出たらほんの数秒で出会える一般男子。


 傍から見れば不釣り合いなマッチングである。


 ──それでも、『恋』というものは分からないイマジネーションなのである。




「──じゃあ、言うよ」

「ええ、ドーンと来なさい。覚悟は出来てるから!」


 唾をゴクリと飲み込み、互いに真剣な表情を作る。

 先程までの笑みは一先ず仕舞い。互いに“後の為”に取っておく。


「……分かった」


 静かに、そして通常よりも小さく声を出した俺は1歩星崎さんに近付く。これで2人の距離はかなりの密接した距離になった。


「っ……」


 俺からの圧倒的な緊張を感じてしまったのか?結果を予想し、勝ち確な状況の星崎さんであっても冷や汗を垂らして緊張気味であった。



 でも、そんなことよりも。今の俺の顔は一体どんな感じなのだろうか……?


 引きつっているのだろうか?

 それとも緊張でバグった滑稽な顔になっているのか?

 それともそれとも……星崎さんにとっての理想の顔になれているのだろうか?



 だけど、俺はどんなことがあろうとも。覚悟は決まっていた。


 だから重く閉ざされ、拒絶する唇をぐっと押上げ──自分の気持ちをそのまま言葉に乗せた。











「──本当に申し訳ないけど。星崎さん、あなたからの言葉は拒否させてもらう」


 そう、俺は星崎さんの告白をキッパリと潔く断るのであった。





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