第20話 誰が旨いこと言えと

「おにぃ、おにぃ、てーへんだ、てーへんだ、てーへん」

「ど、ど、どうした、でこっぱち?!」


「誰がでこっぱちだいっ!」

「いや、そういう流れだったんじゃないのか」

「ちがわい。てーへんなんでい」


「……でこっぱちじゃない、とすると」

「てやんでぇ、べらぼうめ。こちとら……えっと、こちとら、生まれも育ちも岐阜で、でごんす?」


「慣れない江戸弁使うな。分かった。お前、浅草氏にはまったな」

「はまったよ?」

「あれには手を出すなってあれほど」

「言ってない言ってない タイトルには書いてあるけど」

「お後がよろしいようで」


「ちゃんちゃん……って終わらすなよ、てーへんなんだい」

「お前の成績が底辺なのか?」

「どつくぞ! 成績は常に中の中だよ」

「それなら良いが、キャラが壊れてるほうは良くないだろ。で、なんか大変なんだ」


「ハヤブサ2が持ち帰った砂から、なんかすごいものが検出されたって」

「適当な記憶でてーへんとか言うな。アミノ酸だろ。どうやらグルタミン酸だって話だな」

「ふーん」


「そこには興味なしかよ。さっきまでの騒ぎようはなんだったんだ」

「いや、浅草氏のマネをしてみたかっただけで」

「そんなことだろうと思ったが、良いニュースなんだから興味持てよ」


「なにそれ、おいしいの。状態よ」

「グルタミン酸は旨み成分だよ!」

「誰が旨いこと言えと」


 妹なんて、ろくなもんじゃねぇ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る